研究課題/領域番号 |
20K15935
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
山室 和彦 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (60526721)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | オキシトシン / 視床室傍核 / 社会性行動 / 自閉スペクトラム症 / 前頭前野 / 逆境的小児期体験 / 社会性 / 社会隔離 |
研究開始時の研究の概要 |
幼少期隔離に関連したマウス研究は数多くの研究成果が報告されているが、特定の脳回路の障害を明らかにした研究はない。さらに、視床の中でもPVTに注目し、前頭前野-視床室傍核回路(mPFC-PVT)の機能を追究する研究内容の独創性は極めて高い。また、PVTでのOTR受容体機能を有機的に追究する研究は他に類をみない。申請者らは、幼少期隔離によってPVT に投射するmPFC 錐体細胞(V/VI 層)への興奮性入力が低下していることを既に明らかにしているため、mPFC 錐体細胞を光遺伝学および化学遺伝学的手法によって活性化させることで、幼少期隔離マウスの行動異常が変化、改善するのではないかと予想している。
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研究成果の概要 |
Oxtr-creマウスにiDREADDを用いて、後部視床室傍核のオキシトシン受容体のある細胞を特異的に抑制したところ、3chamberを用いたタスクで社会性の障害が生じることが分かった。一方で、OFやEPMでは差がなく、活動量や不安には問題がないことを確認した。さらに、AR-LABO(複数匹マウスの同時行動解析)を用いてフリームービングで行動を観察したところ、後部視床室傍核のオキシトシン受容体のある細胞を特異的に抑制したマウスでは自ら新規マウスに接触する回数が低下し、一方で新規マウスから接触される回数は増加していることが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
オキシトシンは自閉スペクトラム症に対して効果的と報告されているが、そのメカニズムは分かっていない。オキシトシンは自閉スペクトラム症に対して有力な候補となるため、その作用機序の解明が喫緊の課題となっている。今回、視床室傍核のオキシトシン受容体のある細胞を薬理遺伝学的に操作することで社会性行動に関わることを明らかにした。本研究で得られる結果によって、オキシトシンが社会性行動に関与することが明らとなり、社会性障害を呈する患者の新規治療法などのヒト研究を飛躍的に促進するため医学的に非常に意義がある。今後、さらなる研究が行われることが期待される。
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