研究課題/領域番号 |
20K15946
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小島 正寛 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (90824714)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | コバルト触媒 / 光触媒 / 光反応 / 金属触媒反応 / 医薬化学 / ラジカル |
研究開始時の研究の概要 |
9族遷移金属のロジウム、イリジウムは医薬品候補化合物の合成に有用なビルディングブロックを与える優れた触媒だが、20年超に渡る研究にも関わらず創出可能な分子の多様性には未だ制限を有する。本研究提案では同じ9族元素でありながら、これまで触媒としての活用が遅れていたコバルトに焦点を当て、既存の触媒系では効率的な合成が困難であった新規ビルディングブロックの創出法の開発を目指す。具体的には光酸化還元触媒とコバルト触媒の協働によるアリル位アルキル化反応を炭素ラジカルの化学と融合させ、光駆動型コバルト触媒特有の性質を活用した、三級炭素ラジカルのアリル化による不斉四級炭素の構築反応の開発を行う。
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研究成果の概要 |
コバルト触媒と有機求電子剤の反応によって生じさせた有機コバルト種と、光触媒によって発生させた炭素ラジカルを反応させ、既存の方法論では構築が難しい炭素-炭素結合を立体選択的に形成させることを目的に研究を行った。検討の結果、炭素ラジカル前駆体として容易に入手可能なピリジニウム塩誘導体を用いることで、アリルコバルト種への炭素ラジカルの付加を経由すると考えられるアリル位での位置選択的な炭素-炭素結合形成に成功した。アリル基が直鎖選択的に導入されるとの情報は申請者らの研究で初めて明らかとなった事実であり、コバルト触媒を用いる立体選択的な炭素-炭素結合形成を実現に向けた重要な知見を得ることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
光酸化還元触媒と遷移金属触媒を併せて用いることで新奇な化学変換を実現する方法論はmetallaphotoredox catalysisと呼ばれ、現代の有機合成化学において注目を集めている。申請者らが実施した研究は未だ反応性について知見がほとんどなかったアリルコバルト種の反応性を実験化学、および計算化学の両面から明らかにしたという点でmetallaphotoredox catalysisの発展に貢献するものである。また生物活性分子に多く存在する脂肪族アミンの効率的変換を実現する新たな方法論の開発に成功したという点において、創薬化学研究の進展にも資する成果が得られたと考えている。
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