研究課題/領域番号 |
20K15955
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
嵯峨 裕 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (20785521)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 不活性C-H結合 / CO2挿入 / 光触媒 / 電気触媒 / 金属錯体 / 協奏触媒 / 電気化学 / CO2活性化 / CO2の直接不斉導入 / 多機能錯体 / 不活性C-H結合活性化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「不活性C(sp3)-H結合に対し、CO2ガスを直接不斉導入し、キラルカルボン酸を合成する」という前人未到の触媒方法論の創出に取り組む。これは、本骨格こそが多彩なdrug-likeな化合物の迅速供給を可能にし、医薬品開発成功率の上昇に寄与しうる最重要骨格である、という申請者の洞察に基づく。具体的には、「異なる4つの触媒機能部位(光レドックス、HAT、CO2活性化、不斉誘導)を同一錯体内に搭載し、各々の触媒機能を失活させることなく協奏させる多機能金属錯体の精密設計・開発」を中心に据える。本触媒開発を基盤に、sp3炭素骨格の多様性を拡張し、医薬リード開拓成功確率の戦略的な向上を目指す。
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研究成果の概要 |
低反応性有機化合物、安定なCO2ガスを組み合わせた、4つの新規触媒的高難度変換反応に成功した。1. 機能統合型新規Ru錯体を開発し、世界最高水準の触媒効率を示すCO2光還元反応を達成した。2. 新たな化合物群BI類を見出し、世界に類を見ない不活性アルケンの光化学的ヒドロアシル化反応を達成した。3. アシル基及びCO2をアルケンに同時導入する、世界初の3成分アシルカルボキシル化反応を達成した。4. 独自のEDA錯体触媒系を開発し、世界初の緑色光照射下におけるアルケンのヒドロアシル化反応に成功した。 加えて、当初の研究計画には無かった電気化学的手法を基盤とする3つの世界初の重要成果も併せて達成した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
アルカン・アルケン類は石油資源から入手容易であるが、安定な化学結合を有しその化学変換は困難である。また、CO2ガスは温室効果ガスとして削減が望まれるが、安定ガスでありその変換は容易ではない。我々は本研究において、そのような低反応性有機化合物とCO2ガスからの高難度変換を実現する、光化学的+電気化学的新規金属錯体触媒系の開発に成功した。一般に本化学変換には、過酷条件を必要としていたが、我々は光・電気エネルギーを駆動力とする独自の協奏触媒系を開発することで、温和条件における化学変換を達成した。加えて、今回構築される化合物群は有用医薬候補であり、医薬リードの迅速供給につながりうると考える。
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