研究課題/領域番号 |
20K15978
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
高橋 知里 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (70833680)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 多発性骨髄腫 / 分子標的薬 / 脂質 / プロテオミクス / メタボロミクス / ボルテゾミブ / 耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、これまでのボルテゾミブ耐性因子の探索研究を基に、ボルテゾミブ耐性骨髄腫細胞株を用いたタンパク質および代謝物の網羅的解析により薬剤耐性機構を明らかにし、申請者らがボルテゾミブ不応性患者で減少していることを明らかにした血中脂質が薬剤耐性に影響を与える機構を解明することを目的とする。 多発性骨髄腫は、骨髄中の形質細胞が悪性化した難治性の造血器腫瘍である。プロテアソーム阻害薬ボルテゾミブはその治療におけるkey drugであるものの、治療不応および治療中の耐性獲得が問題となっている。本研究により、治療効果を予測し、個々のがん患者にとって最適な治療の選択と、予後およびQOLの改善に寄与できる。
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研究成果の概要 |
本研究では、多発性骨髄腫におけるボルテゾミブ耐性機構を解明するため、ボルテゾミブ耐性骨髄腫細胞株を用いたタンパク質および代謝物の網羅的解析を行った。超臨界流体クロマトグラフィー/質量分析計 (SFC/MS)を用いた測定系を構築し、189種類の脂質分子種について測定を行った。その結果、耐性株では特定の脂質分子種の発現が変動し、脂肪酸代謝の亢進が耐性機構に関与している可能性が示唆された。さらに、ボルテゾミブ不応性患者の血清中で抗炎症性脂質が減少していることが確認され、これらの脂質分子種が耐性に関連する重要なバイオマーカーであることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多発性骨髄腫におけるボルテゾミブ耐性獲得の分子機構の解明と新規薬剤の導入による併用療法の確立は急務だが、その分子基盤には不明な点が多く残されている。本研究の学術的意義として、特定の脂質分子種と脂肪酸代謝の亢進が耐性機構に関与していることが示唆された。これにより、これまで解明されていなかった耐性のメカニズムに新たな知見を提供することができた。社会的意義としては、本研究によって耐性メカニズムの理解が進み、個々の患者に最適な治療法を提供するための新たな指針が得られ、患者の予後や生活の質の向上に貢献することが期待される。
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