研究課題/領域番号 |
20K15989
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
伊原 大輔 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (20804561)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 遺伝子発現 / シナプス / 転写因子 / SRF / MRTF / MKL |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は「シナプスに局在するMRTFが、シナプスにおいて様々な刺激の“受け手”となり、自ら核移行して情報を伝達し、遺伝子発現を調節する」という仮説を検証する。既に、CRTC1-CREB経路が記憶・学習に重要であることが知られている。申請者らは実際に、MRTFBが神経活動により核移行することを発見した。つまり“MRTF-SRF経路”は、記憶・学習に重要な“シナプスから核へ”の情報伝達を担う新規の経路だと強く示唆される。そこで「MRTFを介した遺伝子発現機構」および「MRTFの分子種間におけるその違い」を明らかにすることで、MRTFをターゲットとした新たな分子標的創薬を目指す。
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研究成果の概要 |
核内における転写因子を介した遺伝子発現という一連の情報伝達は、高次脳機能発現に重要である。脳に高発現するMRTFはアクチン結合タンパク質であり、転写因子SRFのコアクチベーターである。本研究では、シナプス活性化によるMRTFの局在変化と遺伝子発現について解析した。その結果、MRTFBの核移行は神経活動および引き続くカルシニューリン経路、加えてRho経路にも依存していた。さらに、ChIP-Seqの結果、MRTFBが介在する可能性の高い遺伝子を複数同定した。以上の結果から、新規の“シナプスから核へ”のシグナリング機構“MRTF-SRF経路”が実証されつつある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、MRTFAは統合失調症、MRTFBは自閉症スペクトラム症および知的障害や軽度の形態異常の原因遺伝子候補となっている。本研究により、脳神経系における「MRTFを介した遺伝子発現機構」および「MRTFの分子種間におけるその違い」を明らかにすることで、精神疾患や発達障害の病態解明につなげる。さらに将来的には、MRTFをターゲットとした新たな分子標的創薬につなげ、患者および家族のメンタルヘルス向上に貢献できる。
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