研究課題/領域番号 |
20K15994
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
森田 大地 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (80826371)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 多剤排出ポンプ / 黄色ブドウ球菌 / メタボローム / 反転膜 / 反転膜小胞 / 薬剤排出 / NorA / 多剤耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
多剤排出ポンプは、細菌のもっとも基本的な生体防御機構として抗菌薬耐性に関する研究が行われてきた。しかし、多くのホモログでは抗菌薬を輸送しておらず、また抗菌薬は人工物であるため、多剤排出ポンプの持つ本来の生理的な役割は未解明の課題である。 本研究では多剤排出ポンプの基質を同定するために、従来は抗菌薬耐性の解析に用いられたノックアウト株や反転膜による輸送活性測定を応用し、抗菌薬以外の未知の基質の分離・濃縮を行う。本研究によって、多剤排出ポンプが担う抗菌薬耐性以外の生理的な役割の解明を目指す。また基質を同定することで、近年研究されている多剤排出ポンプの阻害剤に関する構造的な知見が期待される。
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研究成果の概要 |
多剤排出ポンプは全ての細菌が先天的に持つ基本的な生体防御機構である。しかし多くのホモログでは抗菌薬を輸送しておらず、また抗菌薬は人工物であるため、多剤排出ポンプの持つ本来の生理的な役割は不明である。この研究では黄色ブドウ球菌の主要な多剤排出ポンプの輸送する本来の基質の探索を行った。 黄色ブドウ球菌の恒常的に発現している3つの主要な多剤排出ポンプ(norA, mdeA, mepA)の破壊は生育に影響を与えなかったが、TCAサイクルやアミノ酸を中心とした細胞内代謝物の減少が認められた。また反転膜小胞による基質濃縮の可能性を検討し、反転膜小胞中のnorAの基質であるnorfloxacinを検出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多剤排出ポンプは薬剤耐性を中心とした研究が行われ、その生理的な役割は不明であった。本研究で黄色ブドウ球菌の恒常的に発現している3つの主要な多剤排出ポンプ(norA, mdeA, mepA)の破壊は、TCAサイクルやアミノ酸を中心とした細胞内代謝物の減少を引き起こし、恒常的に発現する主要な多剤排出ポンプの存在はプロトン駆動力の維持などによる細胞内恒常性安定に関与している可能性が示唆された。また反転膜小胞による基質濃縮によって反転膜小胞を利用した本来の基質探索の可能性が開かれた。
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