研究課題/領域番号 |
20K15995
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
宮崎 雄輔 静岡県立大学, 薬学部, 客員共同研究員 (40803466)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | PRMT5 / 心臓 / 心不全 / 拡張型心筋症 / 循環器 / 心肥大 / メチル化 / 機能制御 / 機能解析 |
研究開始時の研究の概要 |
心不全はあらゆる心疾患の最終像であり予後が非常に悪く、現在に至っても十分な治療法が開発されていない。我々の研究室ではこれまでにヒストンアセチル化酵素p300と心臓特異的転写因子GATA4からなるp300/GATA4経路が心不全発症に関与し、治療標的となることを見出した。我々はp300/GATA4経路の詳細な制御機構を明らかにするためGATA4複合体を網羅的に解析し、新規GATA4結合タンパク質としてアルギニンメチル化酵素PRMT5とその活性制御因子MEP50を同定した。本研究はアルギニンメチル化酵素PRMT5/MEP50複合体による心不全発症の分子機構解明と新規心不全治療法の開発を目的とする。
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研究成果の概要 |
本研究はアルギニンメチル化酵素PRMT5の心臓での機能について検討を行った。 心筋特異的PRMT5KOマウスを作成したところ、ホモPRMT5KOマウスは生後10週目までに全て死亡した。生後4週間後での心臓超音波検査の結果、ホモPRMT5ノックマウスでは左室内径の拡大及び左室収縮能の低下が認められた。心重量体重比に差はみられなかったが、個々の心筋細胞径及び血管周囲の線維化の増加、ANF、BNPやCol1a1,Col3a1のmRNA量の増加ならびにSERCA2a、PGC1αのmRNA量の減少がみられた。以上の結果より、心筋特異的PRMT5KOマウスは拡張型心筋症様を呈していることが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
心臓の機能は多種多様の分子によって制御されており、重要な分子機能の欠損は心機能不全さらには死に至る。肥大型心筋症や拡張型心筋症といった特発性心筋症はいまだ原因不明であるが、一部の遺伝子の異常が病態発生に寄与している。PRMT5欠損は心拡張および左室機能低下がみられたことから、心筋症様の症状を呈していることが示唆された。PRMT5遺伝子異常が心筋症の要因となる可能性がある。また、PRMT5は癌関連遺伝子として知られており、その阻害剤は固形癌やリンパ腫の治療薬として臨床試験が進んでいる。本成果はPRMT5阻害による癌の治療は心臓に対する副作用の可能性を暗に示している。今後、更なる解析が求められる。
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