研究課題
若手研究
脳梗塞発症後の慢性期には、梗塞部位から離れた脳領域(海馬や大脳皮質)において神経脱落が生じる。こういった脳領域は学習・記憶などの認知機能に関わっており、認知症などの重篤な後遺症に結び付いているため、この神経脱落の抑止は脳梗塞の患者予後の改善に大きく貢献するものと考えられる。脳梗塞から神経脱落に至る過程では、自己免疫性疾患である多発性硬化症との共通所見が数多く存在することから、脳梗塞では免疫細胞の活性化を介した自己免疫反応が病態形成に関わっていると仮説を立てた。仮説の検証を通じて免疫細胞と神経脱落の関係を解明し、免疫細胞を標的とした新規治療法を提案する。
脳梗塞は血管の狭窄閉塞により、その支配領域の神経細胞が壊死する疾患である。本研究では、認知症や片麻痺などの脳梗塞の後遺症の原因となる慢性期二次性神経脱落における、急性期の炎症応答の関与を検証するため、末梢リンパ球の脳内浸潤経路である頚部リンパ節の脳梗塞における役割を検討した。脳梗塞モデルマウスにおける頚部リンパ節の外科的除去は、急性期では線条体内のリンパ球数増加の抑制を伴い運動機能障害を軽減したが、慢性期では認知機能低下の回復を遅延した。頚部リンパ節を経由して脳内浸潤する末梢リンパ球の脳梗塞病態における重要性が示唆された。本研究成果は、脳梗塞の新しい治療法開発に基礎的知見を提供するものである。
脳梗塞に対する薬物治療法は十分に確立されていない。本研究では、末梢リンパ球とその脳内浸潤経路である頚部リンパ節に着目し、脳梗塞病態における重要性について、モデルマウスを用いて解析したところ、これらの要因は、急性期においては病態促進的に、慢性期においては病態抑制的に機能することが明らかとなった。このことから、末梢から頚部リンパ節を介して脳内に伝達される炎症シグナルは、脳梗塞病態に重要な役割を有し、その制御は脳梗塞に対する新しい治療法の開発につながる知見を提供する。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 3件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 12件) 学会発表 (25件) (うち国際学会 6件) 備考 (5件)
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