研究課題/領域番号 |
20K16009
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47040:薬理学関連
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研究機関 | 京都大学 (2021) 京都府立医科大学 (2020) |
研究代表者 |
浅岡 希美 京都大学, 医学研究科, 助教 (90826091)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 強迫性障害 / 線条体 / ドパミンD2受容体 / 活性酸素産生酵素 / 習慣 / D2受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
繰り返す強迫観念と強迫行為を特徴とする強迫性障害は、薬物治療の奏効率が低く、数十年単位の経過をたどる例も少なくない。本研究では、強迫行為への「とらわれ」の原因として想定されている異常な習慣の形成に焦点を当て、独自の強迫性障害モデルマウスを用いて発展的な検討を行う。具体的には、モデルマウスで見出した線条体中央部の神経細胞種選択的な可塑的変化に注目し、分子生物学的、行動学的、電気生理学的手法を用いて異常な習慣形成の病態生理学的な意義や神経メカニズムの検討を行う。さらに最終的には見出したメカニズムを基にした治療ターゲットの導出を目指す。
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研究成果の概要 |
強迫性障害は繰り返す強迫観念と強迫行為が特徴の精神疾患で、その詳細な原因はいまだ解明されていません。本研究では、活性酸素産生酵素の一種であるNADPHオキシダーゼ1(NOX1)の強迫行動発現への関与、およびそのメカニズムを、強迫性障害モデルマウスを用いて検証しました。その結果、線条体に発現するNOX1がモデルマウスでのドパミンD2受容体を介したシナプス可塑的変化の誘導に寄与していることが明らかとなりました。また、強迫性障害モデルマウスにおいてNOX1を阻害することで、強迫行動が改善することを見出しました。本研究結果から、NOX1が強迫性障害に対する新規創薬ターゲットとなる可能性が示唆されます。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
強迫性障害をはじめ、依存症や摂食障害など、強迫的な行動が問題となる疾患では、ドパミン神経系、特にドパミンD2受容体の異常が示唆されていますが、こうしたドパミン系の異常がどのようなメカニズムで強迫性発現に繋がるのかは明らかとなっていませんでした。本研究は、活性酸素産生酵素であるNOX1由来の活性酸素が、ドパミンD2受容体の下流シグナル変動を引き起こすことで、線条体の興奮性シナプス機能の変化を誘発し、強迫性発現に寄与していることを見出しました。本成果は、強迫性発現の新たな神経メカニズム解明、および治療標的の導出に資するものであると考えられます。
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