研究課題/領域番号 |
20K16048
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
田中 遼大 大分大学, 医学部, 准教授 (30781736)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 母集団薬物動態モデル / 抗感染症薬 / 集中治療 / 集中治療領域 / 持続的腎代替療法 / テジゾリド / テイコプラニン / カルバペネム / 抗MRSA薬 / キノロン / ドリペネム |
研究開始時の研究の概要 |
集中治療を必要とする重症感染者では多岐の要因から体内動態が変動するため、一般病床者とは異なった動態モデルを基にした投与設計が望ましい。過去にICU入室中の重症感染症患者や持続的腎代替療法(CRRT)施行患者を対象とした抗感染症薬の母集団薬物動態(PPK)解析に関する報告は存在する。しかし、同モデルにおいてICU入室の全患者を対象にCRRTによるクリアランスの有無を考慮して検討した報告はない。このような背景のもと、本研究では異なる薬物動態学的特徴を示すドリペネム、リネゾリドおよびテジゾリドに焦点を当て、CRRTによるクリアランスの有無を考慮したPPKモデルを構築することを目的とした。
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研究成果の概要 |
本研究では、集中治療部(ICU)入室中の重症感染患者を対象に、初期経験的治療で用いられる抗MRSA薬やカルバペネム系薬の持続的腎代替療法(CRRT)によるクリアランスの有無を考慮した母集団薬物動態(PPK)モデルを構築することを目的とした。まず、これらの抗菌薬のハイスループットな同時測定系の開発および総・遊離型濃度測定系の確立に成功した。次に、ICU患者を対象にNONMEMのADVAN6を用いてドリペネムのPPK解析を実施した結果、消失経路にCRRTによるクリアランスを組み込んだところモデルの当てはまりが改善し、CRRTによるクリアランスの有無を考慮したPPKモデルの構築に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究結果より、ドリペネムの全身クリアランスへのCRRTの寄与は約40%であることが判明した。また、構築したモデルを用いて、EUCASTの緑膿菌に対するブレイクポイントを基準に、腎機能とCRRTの有無で場合分けした場合のモンテカルロシミュレーションを実施した結果、腎機能だけでなくCRRTの有無で至適投与量が異なることが明らかとなった。ICU患者におけるドリペネムの投与設計を実施する際に本モデルを用いることで、CRRTの有無で使用するPPKモデルを変更することなく単一のモデルで評価可能になり、ICU入室中の重症感染症患者に初期経験的治療を行う際の最適な投与設計に貢献できると期待される。
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