研究課題/領域番号 |
20K16063
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
河内 正二 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (30549308)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 非アルコール性脂肪肝炎(NASH) / アミオダロン塩酸塩 / 腸肝連関 / 小腸粘膜恒常性 |
研究開始時の研究の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、肝硬変や肝細胞癌へと進行し、生命予後に影響しうる疾患である。NASHには、生活習慣病を基盤とするものと、薬剤が原因となるものがあるが、両者の発症を抑制できる機序は解明されていない。そのため、現在、NASHに適応症を有する有効な治療薬はない。近年、肝臓の炎症や線維化を伴うNASHの進展には、腸内細菌由来成分が関与する腸肝連関が注目されている。本研究では、①食餌性および薬剤性のNASHではどのような小腸粘膜障害が生じているのか、②小腸粘膜障害を制御すればNASHの進展が抑制できるのか、について明らかにし、小腸からの新しい視点でNASHの新たな治療法を開発する。
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研究成果の概要 |
アミオダロン(AMD)による薬剤性非アルコール性脂肪肝炎(NASH)モデルマウスを作成し、小腸粘膜恒常性の破綻がNASHの病態形成に関与しているかを検討した。NASHモデルマウスの小腸では、小腸絨毛の短縮、タイトジャンクションタンパク質の消失、小腸粘膜透過性の亢進が生じていた。NASHモデルマウスの肝臓では、LPSの共受容体であるCD14を発現したマクロファージの活性化とTNF-αの発現増加が認められた。AMD誘発NASHモデルでは、小腸粘膜恒常性の破綻が生じており、NASHの発症、進展の予防に小腸粘膜の恒常性維持が重要である可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
NASH発症の背景因子には、生活習慣病と薬剤の2つがある。NASHの病態進展には、腸内細菌の過増殖による粘膜透過性亢進を介して、腸内細菌由来成分が肝臓に移行する機序が指摘されている。これは生活習慣を基盤としたNASHに関する報告であり、薬剤性のNASHに関する報告はほとんどない。本研究では、NASHを高頻度で発症することが報告されているAMDを用いてNASHモデルを作成した。その結果、薬剤性NASHの発症や進展の予防において、小腸粘膜の恒常性維持が重要である可能性が示唆された。本成果は、現在、有効な治療薬がないNASHにおいて新たな治療標的を生み出す端緒となる学術的意義を有している。
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