研究課題/領域番号 |
20K16065
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
岩尾 卓朗 福岡大学, 薬学部, 助教 (30846374)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 血液脳関門 / 高齢発症てんかん / ペリサイト / ドコサヘキサエン酸 / DHA / MFSD2A / 脳ペリサイト / 細胞老化 / 細胞老化関連分泌現象(SASP) / 加齢 / ドコサヘキサエン酸(DHA) / Mfsd2a / 脳血管内皮細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
加齢に伴い発症するてんかん(高齢発症てんかん)は、若年者で発症するてんかんとは異なる病態像を示す。高齢発症では、特に脳血管障害を既往とする症候性てんかんが最多であるが、その発症機構は未だ不明である。その患者数の増大と超高齢者化社会となる現状を踏まえれば、本病態は究明すべき喫緊の社会・医療課題である。本申請者は、加齢に伴い 脆弱化する血管に着目し、脳血管構成細胞である脳ペリサイトの加齢による機能異常が高齢発症てんかんの起因になると仮設した。本研究成果は、高齢発症てんかん病態における新たな機構を提示するとともに『血管を治療し神経を護る』独自の防御法を築く先駆けとなる。
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研究成果の概要 |
本研究では、高齢発症てんかんの潜在的な病態形成機構及びDHA摂取の介入効果について研究を行った。脳のバリア機能を担う血液脳関門の構成細胞である脳ペリサイトが加齢に伴い脳血管から消失及び老化することで、DHA脳移行の低下、血液脳関門のバリア機能の破綻、脳内炎症の拡大が惹き起こされる可能性を明らかにした。更に、加齢に伴うBBBバリア機能の破綻及び脳内炎症に連動してんかん感受性が増大すること、DHAの長期的な摂取が加齢に伴うBBBバリア機能の破綻、脳内炎症及びてんかん感受性の増大を抑制する可能性を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究結果は、未だ明確な病態形成機構が明らかになっていない高齢発症てんかんにおいて、老化ペリサイトを基軸とした潜在的な病態形成機構を明らかにした点に学術的意義がある。また、DHA摂取による血液脳関門の保護が加齢に伴う脳内炎症の拡大及びてんかん感受性の増大を抑制することを明らかにし、DHAの補充が高齢者において発症率の高いてんかんの発症予防や治療に応用できる可能性を提示した点に社会的意義がある。これは「血管を治療し神経を護る」という新たな治療戦略の構築に資するものである。
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