研究課題/領域番号 |
20K16072
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
石田 奈津子 金沢大学, 薬学系, 助教 (70794220)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 流涎 / よだれ / 神経筋難病 / 脳性麻痺 / スコポラミン軟膏 / 唾液 / 難治性神経疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
流涎(よだれ)はパーキンソン病やALSなどの難治性神経疾患による嚥下機能低下などによって生じ,QOL(生活の質)の低下だけでなく,誤嚥性肺炎の発症により死に至る可能性がある。本邦でも流涎治療が必要とされる患者は多いと推定されるが,その実態は明らかでない。一方,流涎治療についてはガイドライン等で推奨される薬剤がないため,各医師の判断により薬剤が選択されている。 本研究では,難治性神経疾患患者の流涎に関する現状調査を行い,調査で抽出された薬剤の有効性および安全性について動物を用いて比較検討することで,流涎に対する適切な薬物療法を確立することを目的とする。
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研究成果の概要 |
難治性神経筋疾患患者における流涎に関する調査の結果,脳性麻痺は神経筋難病と比べ有意に流涎を呈する患者が多かった。さらに脳性麻痺では「若年者」,神経筋難病では「嚥下機能低下者」において流涎が現れやすいことが明らかになった。 一方,唾液分泌促進ラットを用いて院内製剤スコポラミン軟膏の塗布部位が薬効や唾液腺移行性に及ぼす影響を検討したところ,スコポラミン軟膏は唾液腺上部皮膚に塗布することで,より強く唾液分泌を抑制することが明らかとなった。さらに血中及び唾液腺中濃度を測定した結果スコポラミン軟膏の塗布部位による薬効の差は唾液腺組織への移行性の違いが原因であることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により,流涎は日本においても神経筋難病や脳性麻痺患者において一般的な症状であり,その発現傾向は神経筋難病や脳性麻痺患者によって異なることが示唆された。医療者はこれらの点を考慮し,治療を行うべきであると考える。さらに,流涎に使用されている院内製剤のスコポラミン軟膏は,唾液腺上部皮膚に塗布することにより効率的に効果を発揮し,全身性副作用を軽減し得る薬剤であることが示唆された。本研究で得られた知見により,有効性と安全性を両立した流涎治療薬の開発が期待される。
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