研究課題/領域番号 |
20K16078
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
末次 王卓 九州大学, 大学病院, 薬剤主任 (50867330)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | レテルモビル / ポサコナゾール / 薬物相互作用 / 薬物血中濃度 / 個別化医療 / 相互作用 / ボリコナゾール / 血液中濃度 / 母集団薬物動態解析 / タクロリムス / 血漿中濃度 / 液体クロマトグラフ質量分析法 / 個別化投与 / 遺伝子多型 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫抑制薬タクロリムスは、造血幹細胞移植後の移植片対宿主病の制御を目的に使用され、血中薬物濃度データに基づく投与量調節の個別化が不可欠である。近年、薬物代謝酵素のチトクロムP450(CYP)の遺伝子多型がタクロリムスの体内動態の個人差を考える上で有用とされるが、造血幹細胞移植において広く用いられるようになった抗サイトメガロウイルス薬のレテルモビル併用下においては未解明である。 本研究では、造血幹細胞移植を対象にレテルモビル併用下でのタクロリムスの個別化投与設計法の発展を目的として、体内動態に影響を与える分子生物学的指標を解明する。
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研究実績の概要 |
レテルモビルは、2018年3月にサイトメガロウイルス感染症の抑制を目的に承認され、造血細胞移植後に広く使用されるようなった。一方、ポサコナゾールは、2020年に承認されたアゾール系抗真菌薬であり、現在、造血細胞移植時に汎用される薬剤の一つである。薬物代謝酵素チトクロムP450(CYP)3Aの阻害作用を有するため、免疫抑制薬タクロリムスの血中濃度を上昇させるなど、両薬物間で相互作用を生じることが広く知られている。一方、レテルモビルの併用によるポサコナゾールへの血中濃度の影響はボリコナゾールと比較すると少ないとされているが、その影響は十分に解明されていない。したがって、造血細胞移植後のタクロリムス使用時において、レテルモビルの併用がポサコナゾールの血中濃度に与える影響を調査することは重要であると考えられる。 本年度は、レテルモビルとボリコナゾール以外の抗真菌薬との相互作用の影響を確認するため、まずはポサコナゾールの分析系の構築を行った。分析系の信頼性を保障するための分析法のバリデーションについては、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)のガイドラインに準拠して検討を行い、その結果、基準を満たしていた。本年度の研究は、造血細胞移植後のレテルモビルとポサコナゾールの相互作用の解明につながり、結果として、タクロリムスの個別化投与に向けた影響を考慮する上で重要になるものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ポサコナゾールの血液中濃度測定系を構築し、臨床応用が可能となった。また、タクロリムス投与下において、レテルモビルの併用がポサコナゾールの血中濃度に与える影響について解析できるようになった。現在、臨床応用に向けて、実際に濃度測定を行っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、引き続き造血細胞移植患者を対象として、タクロリムス個別化投与設計の発展に向けた解析を行っていく。タクロリムス血中濃度、抗真菌薬との相互作用、有害事象や治療効果との関係について解析を行っていく計画である。また、レテルモビルの血中濃度が影響を及ぼしていると考えられる症例については、その濃度を測定していく。
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