研究課題/領域番号 |
20K16105
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48010:解剖学関連
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研究機関 | 三重大学 (2021) 東京医科歯科大学 (2020) |
研究代表者 |
稲葉 弘哲 三重大学, 医学系研究科, 講師 (80791334)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 一次線毛 / PLCε / カルシウムシグナル / 細胞周期 / ホスホリパーゼC |
研究開始時の研究の概要 |
一次線毛はほぼ全ての細胞で細胞周期静止期(G0期)に形成されるアンテナ様の構造物で、物理的・化学的刺激を受容し、細胞の増殖・分化・極性を制御している。近年、一次線毛退縮制御因子は数多く明らかとなってきたが、成長因子受容体から一次線毛退縮装置へどのように情報伝達されるかは明らかにされていない。最近我々は受容体直下で機能し、カルシウムシグナルなど細胞内の様々なシグナルを制御するホスホリパーゼC(PLC)εが一次線毛退縮に必須であることを見出した。そこで本研究では一次線毛退縮におけるPLCεの機能解析を通じて、成長因子の受容により一次線毛が退縮する分子機構の全容解明を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、ホスホリパーゼC(PLC)εの一次線毛退縮における機能解析を通じて、増殖シグナルによる一次線毛が退縮する分子機構の全容解明を目指した。 PLCεは血清中のリゾホスファチジン酸(LPA)により活性化され、カルシウムオシレーションを起こすことが明らかとなった。また、AktやMAPKなどの増殖シグナルの持続的活性化もPLCεが担っていることが分かった。カルシウムイオノフォアによる持続的なカルシウムシグナルは一次線毛を退縮させることに十分であり、PLCεは受容体直下でこの機能を果たすと考えられた。今後、カルシウムシグナルの標的基質について検討する必要がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一次線毛は、細胞静止期に形成される微小管を骨格としたアンテナ様の構造物で、細胞の増殖や分化・極性などを制御している。細胞が増殖シグナルを受容した際に一次線毛が退縮することは、正常な細胞周期の進行において重要である。 しかし、その形成に関わる分子機構に比べ、退縮の分子機構は多くが未解明である。退縮におけるカルシウムシグナルの重要性はこれまで示唆されていたが、カルシウムオシレーションについては報告されておらず、今回初めて明らかとなった。その生理的な意義については今後さらなる研究が必要である。また、PLCεは一次線毛の退縮と同時に細胞の増殖も制御している可能性があり、今後検討したい。
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