研究課題/領域番号 |
20K16121
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
神谷 知憲 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 助教 (80823682)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 肥満誘導性肝がん / 腸内細菌 / 脂質 / 肥満 / 肝臓 / がん / リノール酸 / 肝癌 / 細胞老化 / NASH / 肝がん / 脂肪酸 |
研究開始時の研究の概要 |
腸内細菌は同じ物質を宿主とは異なる経路にて代謝する。腸内細菌代謝系に変化が生じると疾患発症のリスクとなることが、そのメカニズムについてはほとんど解明されていない。腸内細菌の代謝物が肝癌を誘発し、肝臓が代謝する脂質が抗腫瘍免疫を抑制する。そこで、宿主と腸内細菌の代謝の不均衡が肝癌誘発に繋がると考え、両者の代謝系が知られているリノール酸(LA)に着目した。我々は、低濃度LA食では高頻度に肝癌が形成され、高濃度LA食では肝癌が抑制される知見を得た。本研究では、LAによる肝癌抑制メカニズムの解明を目的とした。宿主と腸内細菌の代謝関係を明らかにし、ヒト肝癌発症メカニズムの解明や治療法の開発に繋げる。
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研究成果の概要 |
肥満誘導性肝がんマウスモデルに対して、高リノール酸含有の高脂肪食を負荷した際、脂肪肝の程度が著しく抑制され、それに伴う腫瘍形成も抑制される。本研究では、この現象を解明するにあたり、腸内細菌の働きを中心に解析した。マウス腸内に生息する常在細菌によって産生されるリノール酸代謝物を検出し、代謝酵素、及び細菌を同定した。そして、精製したリノール酸代謝物を含む高脂肪食の開発に成功した。一方で、抗生物質投与による腸内細菌除去、または上記リノール酸腸内細菌代謝物含有高脂肪食では高リノール酸による脂肪肝、及び腫瘍形成の変化を説明するに至らず、腸内細菌を介さないメカニズムであると結論付けた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、国内の食文化の変化による肥満関連疾患が増え、肥満は糖尿病や脳血管性疾患、心筋梗塞のみならず、肝がんなどの様々ながんのリスクファクターであると明らかとなった。肥満による脂肪肝は肝がん発生にまで悪化することから、発症メカニズムの解明や治療法の確立が課題である。我々は、摂取する脂肪の質を変化させることで、脂肪肝が抑制されることを見出しており、そのメカニズムを解明することは、現代病である脂肪肝を予防するアプローチを生み出すことができると考えた。研究結果としては、腸内細菌を介さなかったが、将来展望としては、脂質の取り込みや肝臓での脂質代謝により起きた現象と予想し、研究の展開が期待される。
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