研究課題/領域番号 |
20K16133
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
古賀 啓祐 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (50835189)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 痒み / 脊髄後角 / セロトニン / パッチクランプ / 慢性掻痒 / 抑制性神経 / かゆみ / GRPR陽性神経 |
研究開始時の研究の概要 |
脊髄後角は末梢の一次求心性神経から感覚入力を受け取り、その情報は複雑に修飾され、適切な感覚情報を脳に伝達する。さらに、脊髄後角は末梢からの入力だけでなく、脳幹などの複数の脳の神経からの入力も受け、さらに複雑に感覚情報が修飾される。本研究では、特に脳幹から下行性に感覚情報を修飾するセロトニン神経に着目して研究を行う。セロトニンシグナルは下行性にかゆみ感覚を増強することから、セロトニンによるかゆみ増強メカニズムについて、脊髄後角のかゆみ特異的神経であるGRPR陽性神経、及び感覚の調節に関与する抑制性介在神経に着目して研究を行い、臨床応用研究で重要となるかゆみの神経機構の詳細を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、Cre-loxPシステムとCRISPR-Cas9システムを用いた細胞種特異的な遺伝子編集技術により、脳から脊髄に下行するセロトニンシグナルの痒み調節における役割解明を目的に実験を行った。頸部脊髄後角抑制性神経からパッチクランプ記録を行った結果から、抑制性神経の調節にセロトニン受容体1aサブタイプ(HTR1A)が関与することを明らかにした。そこで、CRISPR-Cas9システムを利用することにより、抑制性神経特異的にHtr1a遺伝子を欠損させ急性の痒み行動及び慢性の痒み行動の試験を行い、脊髄後角抑制性神経に発現するHTR1Aの痒み行動調節における役割に関する知見を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
痒みは、掻破により外界の寄生虫等の有害物の付着を除去することで生体恒常性維持の役割を担う。一方で、慢性的な痒みは長期的な不快感によって肉体的・精神的ストレスを引き起こし、患者の生活の質を著しく低下させる。痒み感覚を調節する要因として下行性の抑制系が存在するが、その中でもセロトニンによる痒みの調節機構は依然として不明な点が多く残されていた。本研究では、脊髄後角でかゆみを抑制する抑制性神経の活動を、下行性のセロトニンがHTR1A受容体を介して抑制し、痒みの脊髄後角内での調節に関与することを明らかとした。本研究の成果が、新規の慢性掻痒の治療薬や治療戦略の開発に繋がることが期待される。
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