研究課題/領域番号 |
20K16156
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
脇田 将裕 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教(常勤) (70794668)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 細胞老化 / セノリティックドラッグ / 老化細胞 / セノリティック ドラッグ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、慢性炎症を引き起こす原因の1つである老化細胞に焦点を当て、当研究室のハイスループットスクリーニングで同定した老化細胞を効率よく死滅させることができる化合物T-JFCR-6を用いて、がんをはじめとする加齢性疾患に与える影響を明らかにしていく。さらに、T-JFCR-6による老化細胞の細胞死誘導の作用機序を完全に理解することで、老化細胞が死ににくい理由を明らかにする。さらにその知見を元に、より老化細胞のみを標的に死滅させることができる薬剤の開発へとつなげることを目指す。
|
研究成果の概要 |
本研究課題において、老化細胞を優先的に死滅させる低分子化合物(セノリティックドラッグ)として見出したARV825が抗がん剤治療の併用薬として、老化細胞の除去を通じてがん形成を抑えることを見出すことができた。また、ARV825が老化細胞を死滅させる作用機序について詳細に解析したところ、オートファジーが正常に進行しないことから、損傷したミトコンドリアが分解されず蓄積し、活性酸素種(ROS)濃度が上昇することで細胞死に至ることを見出した。さらにいくつかの既報のセノリティックドラッグでも同メカニズムを通じて細胞死を誘導していることが明らかとなった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細胞老化は修復困難なDNA障害を受けた細胞が過増殖することを防ぐため、不可逆的に細胞周期が停止する機構であるが、この細胞は実は炎症性物質をはじめとする様々な液性因子を分泌することで加齢性の疾患を悪化させることが明らかになってきた。本研究では老化細胞を除去する効果を有する既報のセノリティックドラッグをがんの化学療法と併用することでがん治療に対する効果を高めることを見出した。さらに、セノリティックドラッグが共通の分子メカニズムを通じて老化細胞を死滅させていることを見出した。今後は本知見を元に、副作用が少なく老化細胞に対する選択性および高い有効性を示す薬剤開発へと発展することが期待される。
|