研究課題/領域番号 |
20K16163
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
羅 智文 公益財団法人がん研究会, がん研究所 細胞老化プロジェクト, 研究員 (40816998)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 脂肪肝 / 代謝 / 細胞老化 / 肥満 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、過剰な栄養摂取によって引き起こされる、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を伴った肝がんの発症が増加傾向にある。申請者はこれまでにNASHを介した肝がん発症に、細胞老化を起こした肝星細胞が関わっていることを明らかにしたが、まだ不明な点がある。本研究のにおいて、申請者は老化した肝星細胞と肝実質細胞の相互作用による着目し、代謝異常による肝がんの発症機構を解明することを目的とする。そのため、申請者は老化した肝星細胞と肝実質細胞の代謝状態を解析し、代謝異常を引き起こす原因因子を同定して、最終的には新たな肝がんの予防法や治療法の開発に繋げることを目標とする。
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研究成果の概要 |
申請者はこれまでの研究から、脂肪肝内に老化した肝星細胞が肥満誘導性肝がんの発症に関わることを見出してきた。しかし、老化した肝星細胞が肝実質細胞の相互作用については未だ不明である。申請者は脂肪肝を模した環境で肝実質細胞と肝星細胞を培養した結果、脂質代謝に関わる遺伝子の発現が変化することを見出した。次に、申請者はこの細胞間の相互作用を明らかにするために、マウスの肝臓から肝星細胞と肝実質細胞を単離することを成功した。更に、肥満マウスの肝細胞内の脂質蓄積を抑制した結果、肝腫瘍の形成が抑制された。このことから、老化した肝星細胞が肝実質細胞の代謝を調節し、肝腫瘍の形成に促進ことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回の研究から、申請者は肥満誘導性肝がんモデルマウスの腫瘍部における肝実質細胞と肝星細胞が異なる脂質代謝の状態を呈していることを見出し、それらが肝腫瘍の脂質の蓄積を引き起こし、肝がんの発症を促すという知見を得ることができた。このことはがん微小環境内における細胞間の相互作用によるがんの発症の基本メカニズムの解明に繋がる成果である。また、本研究により申請者はマウスの脂肪肝から肝星細胞と肝実質細胞を単離する系を構築しており、より生体に近い状態で詳細な細胞の解析が可能になったことから、今後肥満誘導性肝がんに対して有効な治療法や予防法の開発につながる可能性が期待される。
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