研究課題/領域番号 |
20K16194
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
黒田 揮志夫 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (10772808)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 浸潤性肺腺癌 / 浸潤性粘液癌 / ムチン産生 / 肺腺癌 / 浸潤性粘液腺癌 / 非浸潤性粘液腺癌 / 肺浸潤性粘液腺癌 / 肺非粘液腺癌 / 次世代シークエンサー / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
浸潤性粘液腺癌は、頻度は低いが、時に肺内転移をきたす予後不良の肺癌の一つである。病理組織学的に、多量の粘液を細胞内に産生すると定義されているが、杯細胞や円柱上皮で構成されるなど多彩な組織型を取ることが知られている。新規の亜型であることから、免疫染色や遺伝子学的特徴が十分に整理されていない。我々は、予後決定因子と考えられている免疫染色(HNF4a)の発現を調べ、次世代シークエンサーにより網羅的遺伝子解析を行う。これらの免疫組織化学的特徴と遺伝子情報により、浸潤性粘液腺癌の生物学的特徴を明らかにし、その他の肺腺癌亜型との相違を分析することで、分子病理学的腺癌分類の再構築を試み悪性度の層別化を行う。
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研究成果の概要 |
本研究では、142例の肺腺がんを解析し、ムチン産生に基づいて2つのタイプに分類した。細胞質と気腔の両方にムチンが存在するA型は浸潤性粘液腺癌(IMA)と診断されやすく、HNF4a陽性であった。一方、主に気腔にムチンが存在するB型は浸潤性非粘液性腺癌に近く、TTF-1陽性であった。ムチンの存在は、予後不良因子であるSpread Through Air Spaces(STAS)の存在と有意な相関を示した(P=0.046)。さらに、A型7例とB型6例のRNAシーケンス解析を行い、111個の異なる遺伝子を同定した。これらの結果は、IMAの生物学的特徴の理解を深めるものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
稀な肺腺癌である浸潤性粘液腺癌(IMA)の新たな分子病理学的分類の構築を目指し、ムチン産生に着目した2つのタイプの分類(A型:細胞質と気腔の両方にムチンが存在、B型:主に気腔にムチンが存在)を提案した。 この分類は、IMAの診断や治療法開発に貢献できる。ムチン産生と予後不良因子であるSTASの関連性を明らかにしたことは、IMAの予後予測の精度向上に寄与でき、A型とB型で異なる111個の遺伝子を同定したことでIMAの発生メカニズムの解明や治療標的の探索に役立てる。これらの成果は、IMAの理解を深め、診断・治療法開発、予後予測の改善に繋がる可能性があり、社会的にも意義のある研究成果と言える。
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