研究課題/領域番号 |
20K16203
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
沼倉 里枝 帝京大学, 医学部, 講師 (20805387)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | iCAFs / 胃癌 / 幹細胞性 / 細胞の分化 / IL-6 / 分化 / 細胞株 / 胃癌間質 / 線維芽細胞 / 胃癌細胞 / iCAF / 幹細胞性誘導 |
研究開始時の研究の概要 |
炎症性サイトカインを分泌するCAFs(iCAFs)が膵癌で発見され、癌の進行に関与することがわかった。iCAFsは、癌細胞との相互作用によって、線維芽細胞に誘導される形質であり、iCAFsが分泌するIL-6やLIFには幹細胞性誘導作用が知られている。我々は、進行胃癌において、血管形成にも関与するCD105陽性の未分化な間質細胞が予後不良因子であることを見出した。 そこで、本研究では、線維芽細胞と胃癌細胞の共培養から、(1)胃癌でもiCAFsが出現することを示し、(2)iCAFsが癌細胞や間質細胞に対して幹細胞性を誘導することで、癌の進行に関与する可能性について検討する。
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研究成果の概要 |
本研究で,私は,胃癌間質の線維芽細胞から樹立された細胞株(YS-1)がinflammatory CAFs (iCAFs)のモデル細胞株であることを発見した.YS-1は,胃線維芽細胞株(HGF)よりも,IL-6,LIFの発現が高く,ACTA2 (αSMA)の発現は低かった.mRNA-seq解析では,iCAFsと関連のあるシグナル伝達経路がYS-1で亢進していた.この結果は,胃癌にもiCAFsが存在することの傍証ともなる.加えて,YS-1培養上清は,胃低分化腺癌細胞株 (NUGC3)や骨髄由来間葉系幹細胞(UBE6T-15)の幹細胞性や分化を変化させる可能性が示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在までにiCAFsの細胞株は知られていない.iCAFs研究の多くは,患者やマウス由来のシングルセル解析によるものである.公開データを使わない限り,研究者にとって実験のハードルは高い.この方法単独では,細胞間相互作用の詳細を明らかにするには限界がある.本研究におけるiCAFsの細胞株の発見は,iCAFsの研究を大きく変えるものとなる.YS-1はDish培養でもiCAFsの性質を保持していることから,安定したiCAFsの細胞株として使用できる可能性がある.YS-1に関する知見は,胃癌iCAFsの間接的な存在証明となり,胃癌でもiCAFsをターゲットとした治療の可能性を検討する機会を提供する.
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