研究課題/領域番号 |
20K16205
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 秀明 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90711276)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 乳癌 / タイトジャンクション / ソニックヘッジホッグ / 細胞極性 / 浸潤 |
研究開始時の研究の概要 |
乳癌をはじめとする癌細胞では、細胞接着の減弱及び細胞極性の喪失により浸潤が引き起こされると考えられている。しかし、その分子機序はこれまで殆ど明らかにされていない。本研究では、乳癌で発現が亢進しているヘッジホッグ関連因子・中心体複製関連因子であるSTIL(SCL/TAL1 interrupting locus)によるタイトジャンクション減弱機構を分子細胞生物学的手法と病理組織学的解析の両面から明らかにし、病理組織診断におけるこれまでにない非浸潤性乳管癌の浸潤リスク評価法を確立することを目指している.
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研究実績の概要 |
乳癌をはじめとする癌細胞では、細胞接着の減弱及び細胞極性の喪失により浸潤が引き起こされると考えられている。特に、非浸潤性乳管癌では、細胞接着の減弱化やそれに伴う細胞極性の喪失が浸潤性乳管癌に至る過程で生じていると考えられている。しかし、その分子メカニズムはこれまでほとんど明らかにされていない。我々は乳癌で発現が亢進しているヘッジホッグ関連因子かつ中心小体複製関連因子であるSTIL(SCL/TAL1 interrupting locus)がTRAF4を介してタイトジャンクションの減弱を引き起こしていると考えられる知見を得た。本研究では、STILによるタイトジャンクション減弱機構を分子細胞生物学的手法と病理組織学的解析の両面から明らかにし、病理組織診断におけるこれまでにない非浸潤性乳管癌の浸潤リスク評価法の確立を目指している。これまでに、乳癌を含む培養細胞を用いてProximity ligation assay(PLA法)及び免疫沈降法を施行することによりSTIL-TRAF4の結合をin situおよびin vitroで確認している。これらの成果は、細胞中でSTIL-TRAF4が複合体を形成していること示唆する結果である。 昨年度、タイトジャンクションの減弱メカニズムに、STILによるCortactinのタイトジャンクションへの集積及びリン酸化が関与していると考えられたため、STILとCortactinの複合体形成能について免疫沈降法を中心に解析を進めた。またCortactinの活性化型変異体および不活性化型変異体を作製し、解析を追加した。病理組織の解析については、微小浸潤癌や非浸潤性乳管癌を中心に解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度はタイトジャンクション減弱に関連すると考えられたCortactinとSTILの結合について詳細な解析を追加し、遂行している。また、Cortactinの各ドメインのタグ付き変異体を作製し、STILの変異体とともに免疫沈降法中心として解析を行い、それぞれの結合部位の確認を進めている。 さらに、STILノックダウン乳癌細胞に対し、Cortactin活性型・不活性型変異体の導入実験を行うため、Cortactinのconstitutively activeな変異体およびinactiveな変異体も作製した。これら変異体を、乳癌培養細胞に導入し、タイトジャンクションの変化を解析する予定である。 乳癌病理組織検体に関しては、症例をさらに追加し、免疫染色により解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、STIL-Cortactinの結合ドメインの検索を行うとともに、Cortactin活性型変異体、不活性型変異体を乳癌培養細胞に導入し、これらのタイトジャンクション部への集積およびタイトジャンクションの減弱を解析する予定である。 病理組織学的解析に関しては、微小浸潤癌や非浸潤性乳管癌の症例をさらに追加し、タイトジャンクションの減弱及びSTIL、Cortactinの発現、Cortactinのリン酸化の程度について解析を進める予定である。
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