研究課題/領域番号 |
20K16210
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所) |
研究代表者 |
鷲見 公太 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 医師 (30716733)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 未分化肉腫 / 粘液線維肉腫 / 鎌状血管 / 脂肪肉腫 / 脂肪腫 / MDM2 / FISH / 大型異型細胞 / 細胞診 / 血管増生 / 粘液腫状間質 / 遠隔転移 |
研究開始時の研究の概要 |
未分化肉腫は腫瘍細胞の分化方向が不明であり、いずれの腫瘍群にも分類されない高悪性腫瘍である。希少がんとされる肉腫の中でも占める割合は高い。その病態については未だ不明な点が多く、その疾患概念の体系化が必要である。本研究では、未分化肉腫および未分化肉腫と鑑別が必要である粘液線維肉腫の病理組織検体を用いて、腫瘍内の粘液間質の割合や遠隔転移をしている腫瘍に多くみられる血管形態に注目し、未分化肉腫・粘液線維肉腫を組織形態に基づき、いくつかのグループに分類する。それぞれのグループでのタンパク発現や遺伝子変異解析結果から、未分化肉腫の予後推定因子の解明と腫瘍の病態の解明を試み、診断や治療の基盤形成を目指す。
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研究成果の概要 |
我々は粘液線維肉腫(MFS)/未分化肉腫(US)の85症例を解析した。浸潤性増生を示す症例では粘液腫状間質の割合が高く、遠隔転移は少なく、全生存率は高い傾向にあることを明らかにした。USにはαSMA陽性細胞の被覆が少ない形態学的に特徴的な鎌状血管が観察された。鎌状血管の多寡によりUSを2群に分類すると、転移や予後と有意に相関していた。RNAシーケンスを行うと、プロテアソーム、NF-kB、VEGF経路が形態学的に分類した群間で異なる制御を受けていることが示された。これらの結果から、鎌状血管形成機序を解明することは、遠隔転移に関わる因子の同定や治療戦略を開発するのに役立つ可能性があると考えた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
未分化肉腫に関しては、診断根拠や予後について不明な点が多い。未分化肉腫は血行性の遠隔転移が重要な予後不良因子であり、血行性転移の予測は重要である。本研究から未分化肉腫に関して、鎌状血管が多く見られる症例では有意に血行性転移が多い傾向が見られ、鎌状血管形成が目立つ症例ではNF-kB、VEGF経路の遺伝子変異が関与している可能性が示唆された。この鎌状血管形成機序を解明することで、未分化肉腫の血行性転移に関わる因子の解明につながる可能性があり、未分化肉腫の予後予測因子として利用するだけでなく、治療戦略に役立つ可能性があると考える。
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