研究課題/領域番号 |
20K16265
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター (2021) 名古屋市立大学 (2020) |
研究代表者 |
浦木 隆太 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, ウイルス感染動態研究部 上級研究員 (70843027)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | B型肝炎ウイルス / 制御性T細胞 / 樹状細胞 / 免疫制御 / ウイルス / 免疫細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
持続感染から、慢性肝炎、さらには肝癌を引き起こすB型肝炎ウイルス(HBV)は、世界中で20億人にものぼる感染者がおり、公衆衛生上重要な感染症である。しかし、HBV持続感染が成立する機序や持続感染が維持される機序に関して、免疫学的に十分な解析は行われておらず、様々な課題が残されている。 HBV持続感染時、宿主では抗ウイルス応答が活性化されていないことから、そのような応答を抑制する機序があると予測される。そこで、本研究課題では、免疫抑制能を有する制御性T細胞および制御性T細胞と相互作用する免疫細胞に焦点を当て、ウイルス学・免疫学的視点からHBV持続感染の成立および維持に重要な機序の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、B型肝炎ウイルスの表面蛋白質であるS抗原を発現するトランジェニック(Tg)マウスおよび、制御性T細胞を選択的に薬剤で除去できるTgマウスを用いて、制御性T細胞がHBV持続感染状態の成立・維持に及ぼす影響をウイルス学的、免疫学的視点から解析した。制御性T細胞を一過性に除去すると肝炎マーカーであるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が上昇することを見出した。また、制御性T細胞の一過性の除去によって、制御性T細胞と相互作用する樹状細胞の活性化マーカーである、CD86やCD80の発現が上昇していることが明らかとなった。ALT上昇と樹状細胞の活性化の関連性については今後の課題である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
B型肝炎ウイルスキャリアの患者が肝炎を発症する際に、細胞障害性T細胞などが関与していることは報告されているが、B型肝炎ウイルスの持続感染が成立する機序や持続感染が維持される機序に関しては十分な解析が行われていない。 本研究では、一時的な制御性T細胞の除去によって、肝臓において炎症が引き起こされることを明らかにした。これらの結果は、HBVキャリアでは制御性T細胞が存在することで肝炎発症が抑制されている可能性を示唆している。今後、本知見を発展させ、B型肝炎ウイルスキャリアに対する新たな免疫治療法の開発などに役立たせることができる。
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