研究課題/領域番号 |
20K16268
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
|
研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究 |
研究代表者 |
ソン チホン 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 特任助教 (20755516)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | ノロウイルス / クライオ電子顕微鏡 / 受容体 / 構造変化 / マウスノロウイルス / ヒトノロウイルス / 細胞受容体 / 高分解能構造 / 中和抗体 |
研究開始時の研究の概要 |
ノロウイルスに代表されるウイルス性急性胃腸炎は、世界中で毎年数百万人規模の感染者を出し、大きな社会問題となっている。ウイルスの発見から40年以上が経過するが、その病原性発現機構には不明な点が多く、効果的なワクチンなどの治療薬も存在しない。本研究者は最近、ノロウイルス粒子が構造変化により2種類の構造を示すことを発見した。本研究では、唯一培養細胞で増殖可能なマウスノロウイルスの感染性粒子を用いて、その生理学的意味を解明する。また、マウスおよびヒトノロウイルスのウイルス様中空粒子を用いて、クライオ電子顕微鏡による高分解能構造解析を実施し、この構造変化の分子メカニズムを明らかにする。
|
研究成果の概要 |
ノロウイルスキャプシドにおける可逆的な2種類の構造(突起下降:Aタイプ、突起上昇:Bタイプ)の生理的機能の解明を目指した。主な成果として、マウスノロウイルスを用いて細胞受容体分子の結合位置をクライオ電子顕微鏡で調べた結果、Aタイプの構造の場合がBタイプの構造より細胞受容体分子が結合しやすいことを見出し、Aタイプが感染のための構造であることを明らかにした。また、治療薬やワクチンの開発のためにヒトノロウイルスの構造基盤の研究を行ってきた。主な成果として、GII-3株のウイルス様中空粒子 (VLP) 試料中に存在する二つのタイプの構造において高分解能解析を行い、分子構造を決めたことができた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究代表者の研究室では2012年度にBタイプの構造を示すHuNVのGII-10株に中和抗体が突起とシェルの隙間に入り込んで結合する例を報告した(Hansman et al. 2012)。この抗体は構造変化を阻害して感染を防ぐと予測される。このように構造変化を防ぐ抗体は直接的に治療薬の開発につながると考えられる。本研究は、このウイルスに限らず、サポウイルス、豚水疱疹ウイルスなどのカリシウイルス科ウイルス全体を理解する上で重要な知見となり、様々なウイルスに対する治療薬やワクチンの開発へとつなげて行けると期待される。
|