研究課題/領域番号 |
20K16270
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
直 亨則 北海道大学, One Healthリサーチセンター, 特任講師 (00781741)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ヒトメタニューモウイルス / インターフェロン誘導遺伝子 / 自然免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトメタニューモウイルス(Human metapneumovirus; HMPV)はほぼ全ての人に感染し、多彩な呼吸器症状を引き起こすウイルスであるが、特異的な治療法や予防法は全く確立していない。申請者はこれまでの研究において、抗ウイルス的に機能すると考えられてきたインターフェロン誘導遺伝子(ISG)の一部が、HMPVの感染・増殖を増強しているという知見を得た。本研究計画では、HMPVの感染・増殖を増強するISGを同定し、そのメカニズムを解明する。本計画が達成された際には、HMPV感染・増殖に関する未知のメカニズムが明らかになり、新規HMPV治療薬開発のための分子基盤となることが期待される。
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研究実績の概要 |
インターフェロン誘導因子(ISG)は、インターフェロン(IFN)の刺激によって発言が誘導される遺伝子群である。これまでに数百種類以上のISGが報告されており、細胞内シグナル伝達経路の調節、抗癌作用、抗ウイルス作用など、様々な役割を果たしている。ウイルス学分野ではこれまで、ISGの自然免疫系における機能に着目し、抗ウイルス作用に関連した研究が主であった。しかし、近年抗癌作用、抗ウイルス作用以外の機能を有するISGに関する報告も複数あり、ISGの持つ多様な機能が注目されている。本研究では最新の遺伝子編集技術(CRISPR/CAS9システム)を用いて作成したゲノムワイドノックアウト細胞ライブラリー、及びISG発現ベクターライブラリーを用いて、ヒトメタニューモウイルス(HMPV)の感染・増殖を増強するISGを同定することを目的としている。 4年度目の本年度は、これまでに同定したHMPVの感染・増殖を増強するISGが他のウイルス感染に与える影響について評価した。同定したHMPVの感染・増殖を増強するISGをノックアウトした細胞にニューモウイルス(RSウイルス)、パラミクソウイルス(麻疹ウイルス、ムンプスウイルス)を感染させた。その結果、ISGノックアウトによる自然免疫機能の低下によると思われるウイルスの感染増強が見られる、もしくはノックアウトによる感染性の変化が見られず、ISGにおける感染増強はHMPVに特徴的な現象である可能性が示された。今後はHMPVの異なるウイルス株におけるISGの影響を評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に重要と思われる宿主因子に関して個別のノックアウト細胞を作成し、他のウイルスに関してもウイルス感染における機能解析を進めることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
HMPVには複数の亜型が存在し、培養細胞における増殖性や感染性が異なるため、これまでに作成したISGノックアウト細胞に様々な亜型のHMPVを感染させ、各亜型のウイルス感染におけるISGの役割を解明する。
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