研究課題/領域番号 |
20K16281
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 健 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点助教 (60825941)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 骨髄 / 血管内皮細胞 / 記憶T細胞 / 抗原提示 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫記憶とは、過去に感染した病原体を、二度目の感染以降には効率的に排除し感染を防御するという適応免疫応答の根幹を成す機能である。骨髄中には記憶T細胞が長期間維持されているとされ、二次免疫応答の際には、再度活性化され病原体の排除に寄与すると考えられている。しかし、一般的な免疫応答の場である脾臓やリンパ節とは組織学的構造が異なる骨髄において、記憶T細胞がどのように維持され、どのように活性化されるかは、十分明らかにはなっていない。本研究では、骨髄に存在する特殊な類洞血管内皮細胞と記憶T細胞との相互作用に着目し、骨髄中の記憶T細胞の維持、活性化機構、さらにはその意義を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
骨髄は、造血臓器であると同時に、記憶T細胞や形質細胞の長期間の維持も担う免疫学的にも重要な臓器である。研究代表者はこれまで、骨髄微小環境を構成する血管内皮細胞は、可溶性抗原を効率的に取り込み、少なくともin vitroでは、記憶CD8+T細胞に対して抗原提示する事を明らかにしてきた。本研究では、この結果をさらに発展させ下記の2点を明らかにした。 ①血中の可溶性抗原は、骨髄血管内皮細胞に取り込まれた後、長期間維持される。:蛍光標識した可溶性タンパク抗原をマウスに静脈注射したところ、そのシグナルは、樹状細胞やマクロファージだけでなく、血管内皮細胞にも強く認めた。さらに、このシグナルは、樹状細胞やマクロファージとは全く異なり、最長4週間持続していた。この結果は、骨髄の血管内皮細胞が、取り込んだ抗原を長期間保持する機能があることを示すものである。 ②骨髄血管内皮細胞は、骨髄中の記憶CD8+T細胞を長期間活性化し続ける。:B2m骨髄キメラマウスを用いて、血管内皮細胞を含む骨髄ストロマ細胞のin vivoにおける抗原提示能を明らかにした。また、この抗原提示能は、抗原暴露後最長4週間持続する事も明らかにした。 これらの研究結果は、骨髄血管内皮細胞の抗原提示能をin vivoにおいて明らかにするとともに、樹状細胞やマクロファージとは異なる持続的な抗原提示能を有する事を示すものである。今後、骨髄血管内皮細胞が持続的な抗原提示能を有する事の生物学的意義を明らかにすべく、研究を継続する。
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