研究課題/領域番号 |
20K16301
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
加藤 真一郎 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (40751417)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | エピジェネティクス / ヒストン修飾 / 免疫チェックポイント阻害剤 / G9a / 腫瘍免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は、悪性黒色腫の新規原因遺伝子としてヒストンメチル化酵素G9a(遺伝子名 EHMT2)を同定し、G9aの遺伝子異常(遺伝子変異およびコピー数の増幅)が悪性黒色腫発症や発がんの一因となることを見出してきた。加えて、G9a阻害剤が免疫系を介して抗腫瘍効果を発揮することを最近明らかにしている。本研究では、これまでに明らかにしてきたがん細胞の形質変化そのものではなく、G9aが腫瘍内の抗腫瘍免疫系に及ぼす影響に注目し、G9aが免疫回避機構を介して腫瘍悪性化に寄与することを明らかにする。G9aによる発がんおよび悪性化進展機構を包括的に理解し、G9aを標的とした新規治療法の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
免疫チェックポイント阻害剤(Immune Checkpoint Blockade: ICB)は、その劇的な治療効果から現代がん治療に革新をもたらしたが、奏功率は限定的である。本研究課題では、我々が見出してきたがん遺伝子「ヒストンメチル化酵素G9a」に着目し、がん細胞の形質変化そのものだけではなく、G9aが腫瘍内の抗腫瘍免疫系に及ぼす影響についても検討を行うことで、免疫回避機構を介した腫瘍悪性化機構の一端を明らかにした。これらの成果に基づき、G9aによる発がんおよび腫瘍免疫制御機構を統合的に理解し、治療標的分子としてのG9aの可能性を提示することに成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在、さまざまながん種においてICB単剤もしくは多剤併用による臨床試験が進められていることから、ICBを代表とするがん免疫療法に対する期待の高さが伺える。ところが、実際にその恩恵は一部のがん種、がん患者に限定されており、治療抵抗性・耐性化の分子基盤の解明が社会的にも強く求められている。本研究成果により、がん細胞のエピゲノムランドスケープが腫瘍免疫環境に影響を及ぼすという学術的新規性に加えて、特定のがん細胞における免疫回避およびICB抵抗性がG9aにより制御されることが明らかにされたことから、治療抵抗性の克服に向けた重要な知見が提供された。
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