研究課題/領域番号 |
20K16319
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 静岡県立静岡がんセンター(研究所) (2021-2023) 国立研究開発法人国立がん研究センター (2020) |
研究代表者 |
南出 竜典 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (70809821)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 酸素飽和度 / がん不均一性 / 網羅的遺伝子発現解析 / 免疫組織化学染色 / イメージング / 消化管がん / 内視鏡 / 遺伝子発現 |
研究開始時の研究の概要 |
「酸素飽和度イメージング内視鏡」は、酸素飽和度を生体内でリアルタイムに評価することが可能な革新的イメージング技術である。この技術を活用してがん酸素飽和度不均一性の生物学的機序を解明することを目的とし、本研究を計画した。研究期間内に、1) 酸素飽和度イメージングを用いた臨床検体採取、2) 酸素飽和度に応じた情報解析、3) 情報解析で同定したシグナル経路に関する分子細胞生物学的解析、4) 酸素飽和度に応じたシングルセルRNA-seq解析を遂行することを目標とする。酸素飽和度不均一性に多角的にアプローチすることで、がん低酸素による化学療法や放射線療法などへの治療抵抗性の解明を目指したい。
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研究実績の概要 |
本研究は、酸素飽和度イメージングの生物学的意義を評価し、がん酸素飽和度不均一性を解明することを目的とした。 酸素飽和度イメージングを搭載した内視鏡を用いてリアルタイムに胃癌病変より選択的に臨床検体を採取し、組織酸素飽和度測定・免疫組織化学染色・RNA-seqによる網羅的遺伝子発現解析を行った。 組織酸素飽和度の測定結果は、内視鏡下での評価と有意に相関していた(低酸素腫瘍 32.2% vs. 高酸素腫瘍 70.8%% vs. 非腫瘍 56.2%)。また、代表的な微小血管内皮細胞マーカーであるCD-31、HIF-1カスケードにより誘導されるGLUT-1による免疫組織化学染色を行った結果、高酸素腫瘍・非腫瘍よりも低酸素腫瘍の方が1視野当たりのCD31陽性領域が有意に広い結果であった(低酸素腫瘍 16.8% vs. 高酸素腫瘍 9.4% vs. 非腫瘍 4.1%)。また、GLUT1の染色結果を染色強度・染色面積を基にH-scoreを算出して比較した結果、高酸素腫瘍・非腫瘍よりも低酸素腫瘍の方で有意に高い結果であった(低酸素腫瘍 19.9 vs. 高酸素腫瘍 3.7 vs. 非腫瘍 0.0)。さらに、網羅的遺伝子発現解析で得た情報を基に、エンリッチメント解析を行った結果、低酸素腫瘍ではIGF輸送取り込み制御シグナル経路、高酸素腫瘍ではⅠ型インターフェロンシグナル経路など、酸素飽和度に応じて特異的なシグナル経路が活性化していることも明らかとなった。 以上の多角的な解析結果を踏まえ、酸素飽和度イメージングががん不均一性の解明につながる強力なツールであることが示された。これらの結果を総括した論文を作成し、現在英文誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的を達成する上である程度のデータが集積したと考えており、結果を総括した論文を投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度中にしかるべき英文誌で受理されることを目指している。
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