研究課題/領域番号 |
20K16324
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
豊住 武司 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (80645606)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 食道扁平上皮癌 / 低酸素環境 / Fra-1 / HIF-1 α / HIF-1α / 低酸素 / 低酸素誘導因子 / 食道癌 |
研究開始時の研究の概要 |
食道扁平上皮癌における転写因子Fra-1 (Fos related antigen-1)と低酸素誘導因子HIF (Hypoxia Inducible Factor)ならびにその下流カスケードとの関連を解析し、低酸素環境下におけるHIF上流制御因子としてのFra-1の分子病態学的意義を解明する。 さらにFra-1発現やFra-1の機能をターゲットにした治療戦略が低酸素環境下におけるHIFならびに下流カスケード制御を介した新たな治療シーズになり得るかを探り、新規治療開発に向けた研究基盤を確立する。
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研究実績の概要 |
HIF-1α(Hypoxia Inducible Factor-1α)の上流カスケードとしてFra-1(Fos rerated antigen-1)に着目し、Fra-1ノックダウンモデルにおけるHIF-1α発現抑制を確認した。さらに低酸素環境下の食道扁平上皮癌細胞株におけるFra-1発現ならびにHIF-1α発現変化を解析し、HIF-1α高発現による細胞機能変化(増殖能、遊走能、浸潤能、幹細胞化、細胞周期変化、EMT関連蛋白発現変化…など)を確認した。さらにHIF-1αノックダウンモデルにおけるこれら細胞機能変化の抑制を確認し、食道扁平上皮癌の悪性度と低酸素環境ならびにHIF-1αとの関連を明らかにした。またHIF-1αノックダウンによる食道扁平上皮癌細胞株の5FU感受性変化も確認した。 一方でHIF-1αの下流カスケードとしてはWnt/β-catenin経路に着目し、HIF-1αノックダウンモデルにおけるWnt/β-catenin経路関連タンパクの発現変化を確認した。β-cateninとHIF-1αの共免疫沈降(Co-IP)結果から食道扁平上皮癌細胞株における両者の直接結合を明らかにした。食道扁平上皮癌におけるHIF-1α下流カスケードを明らかにした研究報告は少なく、本研究結果が新たな知見と研究シーズを提供した。 HIF-1αノックダウンモデルを移植した動物モデルを用いて、vivoにおいてもHIF-1α高発現と腫瘍増大が強く関連すること明らかにした。また当科における術前未治療の食道扁平上皮癌根治切術検体を用いてHIF-1αに対する免疫染色を行い、後方視的な臨床病理学的解析結果からHIF-1α高発現群の予後がHIF-1α低発現群の予後に比較して有意に増悪することを確認した。 以上の研究成果からHIF-1αに関連した食道癌領域における新たな研究シーズならびに治療ターゲットを提供した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で予定してきた食道扁平上皮癌細胞株におけるFra-1発現とHIF-1α発現の関連性遺跡、Fra-1ノックダウンモデルにおけるHIF-1α発現変化解析、HIF-1α発現変化によって生じる細胞機能変化解析、動物モデルを用いたHIF-1α機能解析、HIF-1αの下流カスケードとしてのWnt/βcatenin経路の同定、臨床検体におけるHIF-1α発現とその意義の解析などの項目に関し、本年度も順調に研究を遂行していずれも良好な結果が得た。 本研究成果を海外トップジャーナルに投稿し公表した(Br J Cancer.2022.Aug;127(3):474-487.doi:10.1038/s41416-022-01825-3.) HIF-1αノックダウンモデルならびにFra-1ノックダウンモデルを用いた動物モデルにおけるvivoでの解析は一定の結果を得たものの結果公表には至らず、次年度以降にさらに研究を重ねて新規知見の収集に努める。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き食道扁平上皮癌における低酸素環境ならびにFra-1,HIF-1α発現に関連した基礎的実験、動物モデル実験を継続し実臨床とのクロスオーバーを模索する。 低酸素環境下における動物モデル、HIF-1αならびにFra-1ノックダウンモデルを用いた動物モデルを用いた機能解析や新規治療ターゲットの探索も現在進行中であり、新規知見の収集に加えて新たな実験経路確立、研究シーズ確立を目指す。
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