研究課題/領域番号 |
20K16332
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大野 敦司 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (80774645)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 肝細胞癌 / レンバチニブ / 腫瘍免疫微小環境 / 腫瘍免疫 / 肝癌 / シンジェニックマウスモデル / 抗PD-L1抗体 / 微小環境 / 癌免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、血管新生阻害剤と免疫チェックポイント阻害剤(ICB)との併用が注目されている。 進行肝癌においては、複数の腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼ阻害剤のレンバチニブと抗PD-1抗体との併用が、Phase Ib試験で60%という高い奏功率が得られ、現在Phase III 試験が進行中である。レンバチニブが腫瘍の免疫環境を調整していると考えられており、本併用療法は現在非常に期待されている。血管新生阻害による腫瘍免疫への影響については以前より報告されているが、未だ解明されていない点が多い。本研究ではまだ不明な点の多い、レンバチニブの腫瘍免疫環境調整機構の解明を目指す。
|
研究成果の概要 |
肝癌同所移植マウスに対し、レンバチニブ(LEN)+抗PD-L1抗体、LEN単独、抗PD-L1抗体単独、またはVehicleの投与を行った。腫瘍浸潤リンパ球をFACSで解析した結果、CD8陽性T細胞は併用群で最も増加していたが、従来報告されている腫瘍随伴マクロファージ(TAM)の減少は認めなかった。そこで、ヒト腫瘍生検検体において、LEN投与前後の免疫関連遺伝子発現を解析したところ、IFNγ経路の活性化は認めるが、TAMはむしろ増加していることが推察された。また、IL8およびAng2の血中濃度はLENにより低下しており、これらの下方制御がLENによる免疫活性化機構の鍵である可能性が考察された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
レンバチニブ(LEN)は、肝細胞癌のがん免疫微小環境を、免疫チェックポイント阻害剤が奏効しやすい状態に誘導すると期待されているが、その機序については不明なことが多い。これまで腫瘍随伴マクロファージ(TAM)の減少がその機序の一つとして提唱されていたが、本研究結果は、TAMの現象以外に重要な免疫調整メカニズムが存在することを示唆するものと考える。その機序として、IL8や、Ang2-Tie2 axisの抑制が考えられた。現在、in vivoでの機能解析を進めているところであるが、これらの結果は、LENと免疫チェックポイント阻害剤との併用の妥当性を示す結果と考察される。
|