研究課題/領域番号 |
20K16333
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
羽原 誠 山口大学, 共同獣医学部, 助教(特命) (60846525)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ER陽性乳癌 / 乳癌 / プロリン異性化酵素 / エストロゲン受容体 / ER / FKBP / FKBP52 / FKBP51 / PPIase / 核内受容体 / 乳がん / ER陽性乳がん / ユビキチンリガーゼ |
研究開始時の研究の概要 |
乳がんは患者数の多いがんであり、罹患数ならびに死亡数は増加の一途を辿っている。中でもエストロゲン受容体α(ERα)陽性乳がんは患者数の最も多い乳がんである。 ERα陽性乳がん患者のデータベース解析を行った結果、がん組織に特定のプロリン異性化酵素(PPIase)が多く存在すると生存期間が短縮することを見出した。しかし、PPIaseが多いとなぜ生存期間が短縮するのかは明らかになっていない。そこでPPIaseとERαの関係性に注目して研究を行い、ERα陽性乳がんにおけるPPIaseの機能を解明し、得られた結果を基にERα陽性乳がんの新規治療法の創出を目指す。
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研究成果の概要 |
生命科学データベースを用いてエストロゲン受容体(ER:一部の乳癌の発生・増殖に関わる分子)陽性乳癌の予後不良因子としてFK506結合タンパク質(FKBP)52を見出した。FKBP52はタンパク質の機能を制御するプロリン異性化酵素に分類される。 乳癌細胞株にてFKBP52を抑制するとERの分解が促進して発現量が減少し、癌細胞の増殖が低下した。さらにFKBP52の抑制による抗腫瘍効果は内分泌治療抵抗性乳癌細胞株や腫瘍移植マウスにおいても認められた。FKBP52によるER制御メカニズムとして、FKBP52がBRCA1という分子とERの結合を促進することでERを安定化させていることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
エストロゲン受容体(ER)は乳癌の増殖制御因子であり内分泌治療の主要な標的だが、ERの活性を上昇させる分子機構はまだ十分に解明されていない。本研究ではFKBPによるERの新たな制御機構を明らかにした。更にFKBP52阻害は内分泌治療抵抗性の乳癌細胞においても抗腫瘍効果を示すことから、新たなバイオマーカー、治療法開発に繋がることが期待できる。 FKBP52と癌との関連性については報告が少ない。本研究が明らかにしたFKBP52による癌の増殖制御はプロリン異性化の癌における役割を新たに示し、生体内におけるプロリン異性化の意義の理解に繋がるものである。
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