研究課題/領域番号 |
20K16335
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
興梠 健作 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (70869510)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | エピゲノム / 白血病 / 代謝 / 急性骨髄性白血病 / がん代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
急性骨髄性白血病(AML)の治療成績は十分ではなく、新規の治療法の開発が期待されている。近年がんに特徴的な代謝が明らかとなり、治療標的として注目されている。本研究では代謝リプログラミング因子としての報告があるリジン特異的ヒストン脱メチル化酵素(lysine-specific demethylase 1: LSD1)の解析を通じてAMLにおける代謝プログラムを解明することを目的とする。 AMLの代謝機構を明らかにすることで、従来の抗がん剤に変わる新たな治療戦略が得られる可能性がある。
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研究実績の概要 |
急性骨髄性白血病(AML)の細胞株を用いてリジン特異的ヒストン脱メチル化酵素(lysine-specific demethylase 1: LSD1の機能阻害実験を行なった。mRNA-seq、ChIP-seq、メタボローム解析などを含めた統合解析において、LSD1が解糖系やヘム合成などの代謝を正に制御することが明らかとなった。またAMLの様々な病型を網羅した臨床データの解析から、LSD1、GATA 1、解糖系・ヘム合成遺伝子の発現が有意な正の相関関係を示すことが分かった。このことは、LSD1による細胞系譜制御がAMLの代謝型の多様性を 生み出す可能性を示唆している。またLSD1は骨髄球系への分化を促す転写因子であるCEBPAをエピジェネティックな機序で抑制することを明らかにした。また予想外なことに、LSD1は赤芽球系への分化を促す転写因子GATA1をタンパク分解から守ることによって分解されることを明らかにした。この他にも初年度は学会発表を積極的に行うことが出来、質疑応答を通じて今後の研究の展開に関して有意義な助言をいただいた。その後、2022年4月に研究成果をBlood Advances 誌に報告した。研究報告論文をもとに世界の多くの白血病の代謝・エピゲノムの研究の展開を討議することができた。その中でもUTHealth SanAntonio Department of Cell Systems Anatomy のGang Huag 研究室に博士研究員として採用いただくことができた。科研費の助成を一時中断の許可もいただいたため、2022年5月より研究留学を開始するとができた。こちらで得られた新たな技術をもとに更に研究を発展する予定である。
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