研究課題/領域番号 |
20K16337
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
小門 正英 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (30445085)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 腫瘍生物学関連 |
研究開始時の研究の概要 |
眼表面(角結膜・輪部上皮)は上皮性悪性腫瘍の発生母地となる。細胞間のデスモゾーム結合が良性・悪性を問わず細胞の挙動や恒常性維持に重要である。全身エピプラキン(EPPK)欠損マウスと角膜上皮特異的プラコグロビン(JUP)欠損マウスで、両者とも角膜上皮恒常性の維持に必須であったものの、角膜上皮遊走にEKKPは抑制的、プラコグロビンは促進的であり、EPPKやJUPの発現レベルが上皮性腫瘍の挙動制御を介して悪性度マーカーになると考える。EPPKやJUPの発現の悪性上皮細胞の挙動への影響を解明し、細胞生物学的な機能の理解に基づいた新規の上皮性腫瘍の悪性度指標の提唱する。
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研究実績の概要 |
眼表面(角結膜・輪部上皮)は上皮性悪性腫瘍の発生母地となる。その組織浸潤度に応じて、基底膜の温存された上皮内癌から進行性の扁平上皮癌まで悪性度が分類される。細胞間のデスモゾーム結合が良性・悪性を問わず細胞の挙動や恒常性維持に重要である。代表研究者は一貫して角膜上皮デスモゾームに関心を寄せ、全身エピプラキン(EPPK)欠損マウスと自身で交配・作出した角膜上皮特異的プラコグロビン(Junctional plakoglobin; JUP)欠損マウスを用いて、角膜上皮恒常性におけるこれらの分子の役割を解明してきた。両者とも角膜上皮恒常性の維持に必須であったものの、角膜上皮遊走にEKKPは抑制的、プラコグロビンは促進的であった。申請者の知見を悪性腫瘍の挙動調節に当てはめると、EPPKやJUPの発現レベルが上皮性腫瘍の挙動制御を介して悪性度マーカーになると考える。 以下3項目が目的である。(1)扁平上皮癌由来細胞株を用いたEPPKとJUPが眼表面の悪性腫瘍の浸潤性や増殖の制御への関与の解明。(2) XPC欠損マウスに誘発した眼瞼悪性腫瘍でのEPPKとJUPと組織学的悪性度との相関の証明。(3)臨床病理材料で悪性度マーカーの役割があることの証明。 独自性と創造性:EPPKとJUPの角結膜腫瘍での特徴的な発現パターンや両分子の細胞の挙動制御機能を理解した上での癌悪性度診断への応用に関する報告は無い。本研究課題ではまず培養扁平上皮癌細胞の浸潤能に関係する挙動の解析結果を代表研究者が解明した遺伝子欠損マウスでの両分子の眼表面上皮での役割と比較して評価できる。次にXPC欠損マウスに実験的に誘発した眼瞼腫瘍の悪性度と発現パターンの違いを評価する。その上で角結膜における眼表面腫瘍の悪性度判定の新たなバイオマーカーを提供するだけでなく、切除不能症例での薬物治療の効果の判定に有用な指標を確立できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
和歌山県立医科大学でこれまでに集積している癌表面上皮性腫瘍のパラフィン包埋標本と今後も経験する症例サンプルを用いて、組織型とEPPKとJUPの発現、その他の細胞増殖マーカーや癌増殖関連分子の発現を免疫組織化学で評価する。結膜弛緩症の切除結膜、斜視手術時に残余し切除すべき結膜、および腫瘍切除後の断端の正常結膜部分を正常結膜として評価する。正常-異形成-上皮内癌-扁平上皮癌で特徴的な発現パターンがあるか否か検討する。マウスと同様の標的で免疫組織化学的評価を行う(和歌山県立医科大学倫理委員会の承認済み)正常、異形成、上皮内癌でエピプラキン、プラコグロビンの免疫染色を行った。異形成、上皮内癌でエピプラキン、プラコグロビンの発現低下を認めた。EPPKの低下とE-cadherinの低下は、EPPKノックアウトマウスでのE-カドヘリンの発現が低下していたことに合致している。1) 1)Kokado M, et al. Effects of epiplakin-knockdown in cultured corneal epithelial cells. BMC Res Notes. 2016 May 20;9:278. Keratin14は異形成は発現がやや低下、上皮内癌 さらに低下していた。このことは悪性度の進行とともに、正常な結膜上皮の形態が徐々に変化していっていることによると考える。
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今後の研究の推進方策 |
正常-異形成-上皮内癌-扁平上皮癌でその他の細胞増殖マーカーや癌増殖関連分子の発現を免疫組織化学で評価し検討を進めていく。
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