研究課題/領域番号 |
20K16338
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
開 勇人 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 助教 (50847358)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | カルシウムシグナル / 薬剤耐性 / がん細胞株 / カルシウムチャネル / カルシウムポンプ / カルシウム / 逆相タンパクアレイ / がん細胞 / 薬剤抵抗性 |
研究開始時の研究の概要 |
薬剤抵抗性を持つ再発がんは一般に難治性である。この課題を解決するために、がん細胞の薬剤抵抗性のメカニズムを、細胞内Ca2+濃度変化を用いたシグナリング (Ca2+シグナル)の視点から研究する。がん細胞では細胞内Ca2+濃度が正常細胞と異なることが指摘されている。遺伝子発現の調節のセカンドメッセンジャーとして働くCa2+シグナルにも、その影響が及ぶ可能性がある。本研究では、抗がん剤誘導Ca2+シグナルを観察し、がん細胞の薬剤抵抗性に関連するか評価する。その後、逆相タンパクアレイを用いてタンパク発現を定量・比較することで、Ca2+シグナリングに関与する薬剤標的としてのタンパク分子を探索・同定する。
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研究成果の概要 |
がん細胞が抗がん剤による刺激を受容した際に数秒から数分の間に生じる細胞内Ca2+濃度の変動、Ca2+シグナルに着目した。Gefitinibなどの分子標的薬はCa2+シグナルを誘導しなかった。一方、5-フルオロウラシルはCa2+シグナルを誘導することや、薬剤耐性株では親株と比較してCa2+の排出速度が速いことを見出した。Ca2+ポンプの発現が高いことが考えられたため、siRNAでPMCAファミリーのCa2+ポンプの発現量をノックダウンすると薬剤耐性株のCa2+シグナルが親株と近似したことから、PMCAファミリーのCa2+ポンプが薬剤耐性株の特異なCa2+の排出速度を規定していたことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Ca2+シグナルは生物に広く保存される基本的な生命現象である。一方で、がん細胞におけるCa2+シグナル、特に抗がん剤誘導性のCa2+シグナルはほとんど着目されてこなかった。本研究では、5-フルオロウラシル抵抗性胃癌細胞株において、特徴的なCa2+シグナルが誘導される発見を足掛かりに、薬剤抵抗性株の特徴を規定する因子としてPMCAファミリーCa2+ポンプを同定した。一般に薬剤抵抗性の再発がんは難治性である。治療標的の候補の探索はもちろん、薬剤抵抗性獲得メカニズムの一端を明らかにすることは、未治療のがん細胞が薬剤抵抗性を獲得しないよう阻害する手段を検討することにつながる。
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