研究課題/領域番号 |
20K16339
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
加藤 優 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 助教 (80847864)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 細胞転換 / 上皮間葉転換 / スフェロイド / glutathione peroxidase 4 / glutathione / 大腸がん / 薬剤感受性 / GPX4 / glutahione / 上皮間様転換 / スフェロイド培養 / glutathione peroidase 4 / キナーゼ阻害剤 / エピジェネティック阻害剤 / 代謝阻害剤 |
研究開始時の研究の概要 |
がん細胞は、その環境に応じて細胞転換を起こす。上皮間葉転換 (EMT) は、細胞間接着の強固な上皮系の細胞から運動能の高い間葉系の細胞への転換である。また、細胞を3次元培養してスフェロイドを形成させると、細胞間接着が強固になる。こうした細胞転換に伴って薬剤感受性が変化する。本研究では、がん細胞にEMTおよびスフェロイド形成を誘導し、細胞転換特異的に高い効果を示す化合物を同定する。細胞転換時においてヒット化合物を処理し、遺伝子発現の変動を解析することで薬剤感受性規定因子を明らかにする。見出した化合物の併用により、がん細胞のheterogeneityを克服して、治療効果を高めることを目指す。
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研究成果の概要 |
細胞は、その生存環境に適応するために細胞転換する。本研究ではヒト大腸がん由来のHCT116細胞にEMTを誘導したEMT細胞を用いて、細胞転換時の薬剤感受性の変動機構について研究し、EMT細胞はglutathione peroxidase 4(GPX4)阻害剤に高感受性を示すことを明らかにした。このEMT細胞のRSL3高感受性には、細胞内glutathioneの低下が関与していた。次に、通常培養よりも生体内に近いスフェロイド培養時に高感受性化する薬剤を探索し、BET阻害剤のdBET6を同定した。dBET6はEMT細胞において通常培養、スフェロイド培養の両方でRSL3への感受性を増大させた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
EMTやスフェロイド培養による細胞転換は、がん細胞の薬剤抵抗性を変動させる。本研究では、EMT、スフェロイド培養による細胞転換後の細胞に強い増殖抑制効果を示す薬剤を同定した。これらの薬剤を既存の治療法を合わせることで、細胞転換による薬剤感受性の多様性を克服可能であると考えられた。また、EMT細胞では、RSL3感受性が高く、GPX4阻害時にフェロトーシスが誘導されることを明らかにした。フェロトーシスは抗がん剤や放射線治療などでも誘導されることが報告されており、EMTが誘導された細胞では、抗がん剤や放射線治療とフェロトーシス誘導剤を組み合わせることで既存の治療法が増強可能であると期待される。
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