研究課題/領域番号 |
20K16340
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
吉田 剛 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (00732405)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | EpCAM / アミノ酸輸送体 / Wntシグナル / mTORシグナル / 栄養飢餓 / LAT1 / 癌幹細胞 / 微小環境 / 代謝リプログラミング / 治療抵抗性 |
研究開始時の研究の概要 |
癌細胞は持続的な増殖能を可能にする細胞死抵抗性、血管新生、免疫回避機構、慢性炎症などを特徴とする。とりわけ代謝リプログラミングでは、低酸素・低栄養という生存には極めて不利な微小環境にあたかも適応するかの如く、代謝経路を自身の生存・増殖に都合の良いように改変している。
癌幹細胞マーカーの一つであるEpCAMは肝臓癌や卵巣癌の治療標的分子として臨床的に着目されている。本研究では、EpCAMが細胞膜上に存在するアミノ酸輸送体とどのように協調しながら、腫瘍の特性である代謝リプログラミングを可能にしているのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
EpCAM (epithelial cell adhesion molecule)は大腸癌・肝細胞癌・前立腺癌をはじめとする上皮系腫瘍の癌幹細胞で高度に発現している分子である。これまでの研究によって、EpCAMの細胞内ドメイン(EpICD)がγセクレターゼによって切断されてFHL2およびβカテニンと協約することでWntシグナルを活性化するばかりか、MYCやSOX2などのステムニスに関連する遺伝子の発現を制御することが明らかにされている。 本研究で申請者は、EpCAMの発現によってどのように癌幹細胞が生存・増殖に不利な過酷な微小環境に適応しているのかを検証することとした。以前の研究で血清飢餓の状態に暴露された際に、EpCAM陽性の癌細胞はEpCAM陰性の細胞集団と比較してmTORシグナルが有意に活性化されることを見出していた。今回、フローサイトメトリーを用いて癌細胞株をEpCAM高発現と低発現の細胞集団に分離したのちに、xCT(SLC7A11)・LAT1(SLC7A5)・ASCT2(SLC1A5)などのアミノ酸トランスポーターの発現の違いを定量的PCRにて検討したところ、LAT1に有意な差が認められた。LAT1はロイシンを細胞内に取り込みmTORシグナルを活性化することが知られている。LAT1発現の差異に関する本所見は、以前の研究でEpCAMの発現レベルが高いほどmTORシグナルが活性化されやすいことを裏付ける結果であった。さらに申請者はEpICDがLAT1の発現を転写レベルで活性化することを証明した。EpICDを誘導するγセクレターゼおよびADAM17に対する阻害剤を用いてEpCAMの切断を抑制したところ、LAT1の発現レベルは顕著に低下した。
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