研究課題
若手研究
内因性・外因性の様々なストレスによりがん微小環境中の間質細胞に細胞老化が誘導されると、SASP(Senescence-Associated Secretory Phenotype)因子を分泌し、CAFs(Cancer Associated Fibroblasts)としてがんの悪性化に寄与する事が近年明らかになりつつある。これまでに我々は、乳がん患者のがん細胞において老化細胞と酷似したクロマチン構造変化を呈するサブタイプが存在する事を見出している。そこで、本研究は乳がん細胞とCAFsに共通した異常からSASP因子分泌が起こる分子機構を明らかにし、新規治療戦略の創成へと繋げることを目的としている。
本研究では、老化細胞で特徴的な染色体構造変化(ORSP)が、一部の乳がんでも形成されているという我々が同定した知見に基付き、乳がんにおけるORSPが腫瘍悪性化機構へ及ぼす影響の解明を目的として研究を行った。細胞生物学的な解析及び情報解析により、ER(エストロゲン受容体)陽性乳がんにおいてORSPを起こしている細胞が多いこと、また、その細胞は老化細胞様の遺伝子発現変化を起こしている傾向があることを見出した。
本研究では、細胞生物学的な解析及び情報解析により、ER(エストロゲン受容体)陽性乳がんにおいて老化細胞に類似した遺伝子発現変化を起こしている細胞集団の存在を発見した。これらの研究成果は、乳がんにおいて、老化細胞で特徴的な染色体構造変化(ORSP)を呈する細胞が共通の治療標的となりうる可能性を示唆しており、さらなる研究により新規治療戦略の開発に繋がる可能性が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (5件)
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