研究課題/領域番号 |
20K16370
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
瀬戸 陽介 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター 基礎研究部, 研究員 (50738614)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | シングルセル解析 / 薬剤耐性 / 肺がん / シングルセル |
研究開始時の研究の概要 |
EGFR活性型変異陽性肺がんの治療において、EGFRを標的とした分子標的薬は劇的な腫瘍縮小と生存期間の延長をもたらしてきたが、治療数年ほどでT790MやC797Sといった薬剤耐性変異が出現することが大きな問題となっている。このような耐性変異には、腫瘍不均一性として治療前から存在するものや治療過程で新たに獲得されるものがあり、突然変異率にはエピジェネティックなゲノム修飾が関与していることが示唆されている。以上から、本研究では、エピジェネティックな遺伝子発現調整の変化と突然変異パターンの相関をシングルセルレベルで調べることで、薬剤耐性変異獲得の分子メカニズムを解明することを目指す。
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研究成果の概要 |
EGFR活性化変異陽性肺がん患者への治療にはEGFRを標的としたEGFR阻害剤が劇的な治療効果をもたらしてきたが、薬剤耐性変異獲得によるがんの再発が大きな問題となっている。本研究では、EGFR活性化変異陽性肺がんにおける薬剤耐性変異獲得のメカニズムを解明するために患者由来の細胞を用いてシングルセルRNA-seqやシングルセルATAC-seqを行った。その結果、耐性変異獲得前のがん細胞ではEGFR阻害剤に対する炎症応答が生存に関与している可能性が示された。また、治療前がん細胞集団にがん不均一性が存在し、薬剤耐性変異獲得の過程で塩基の置換パターンが変化していることを明らかとした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肺がんにおける分子標的薬を用いた治療は劇的な治療効果をもたらすが、治療数年内に薬剤耐性変異の出現がおこることが臨床上大きな問題となっている。しかしながら、耐性変異獲得に至るがん進化メカニズムはほとんど明らかとなっていない。本研究により、治療前がん細胞集団から薬剤耐性変異獲得の過程で塩基置換パターンが変化することやその変化にかかわる可能性のある遺伝子の発現、さらに、耐性変異獲得前のがん細胞では、薬剤存在下での生存に炎症応答が関与していること示唆され、がん進化プロセスを理解する上で重要な知見を得た。
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