研究課題/領域番号 |
20K16390
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 帝京大学 (2021-2023) 獨協医科大学 (2020) |
研究代表者 |
樋口 芙未 帝京大学, 医学部, 講師 (20537104)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 神経膠腫 / Temozolimide / Mismatch repair / TMZ / ミスマッチ修復欠損 / 細胞老化 / PARP阻害薬 / 薬剤抵抗性 / PARP阻害剤 |
研究開始時の研究の概要 |
“悪性神経膠腫治療においてPARP阻害剤の追加によりTMZの抵抗性を克服できるか” 悪性神経膠腫は未だ再発が不可避な疾患であり、再発腫瘍の20-30%にmismatch repair (MMR)遺伝子の変異が認められ、この変異がアルキル化剤Temozolomide(TMZ)に対する抵抗性の要因となる。PARP阻害剤はDNA損傷反応やDNA修復機構に重要な役割を果たすPARPの機能抑制により、TMZを含めた化学療法剤の効果促進作用が報告されている。本研究では、MMR遺伝子欠損によるTMZ抵抗性神経膠腫細胞株を使用し、PARP阻害剤の併用がTMZに対する感受性を回復できるかを基礎実験で明らかにする。
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研究成果の概要 |
悪性神経膠腫におけるミスマッチ修復(MMR)欠損は、標準治療薬テモゾロミド(TMZ)に対する抵抗性の原因となる。本研究では、MMR欠損神経膠腫細胞株に対して、PARP(ポリADP-リボースポリメラーゼ)阻害剤の併用により、TMZに対する感受性が回復することを見出した。そのメカニズムの解明のためDNA損傷反応や、各種DNA修復機構に関連するpathwayに注目し、遺伝子発現解析を行ったが、治療による発現変化は認められず関与を証明できなかった。一方で、治療細胞では、細胞老化現象が誘導されており、TMZ,PARP阻害剤の併用治療の機序として細胞老化の関与が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在、再発悪性神経膠腫に対して確実な延命効果を示す治療方法は確立されていない。標準治療薬である、TMZに対する抵抗性は腫瘍の再発と密接に関連しており、本研究で示された、PARP阻害剤の併用による感受性の回復は、再発悪性神経膠腫のあらたな治療戦略となる可能性がある。また今後、感受性回復のメカニズムの解明をさらにすすめることで、TMZ抵抗性の獲得を回避する併用治療や、より効果の高い併用治療薬を探索する研究へと発展できる。本研究の成果は、悪性神経膠腫に対する新しい治療戦略を生み出す研究への貢献が期待できる。
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