研究課題/領域番号 |
20K16401
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
小此木 範之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 重粒子線治療研究部, 医長 (00750572)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 骨障害 / 不全骨折 / 放射線治療 / 重粒子線治療 / 有害事象 / DVH解析 / バイスタンダー効果 |
研究開始時の研究の概要 |
骨盤部に放射線治療を受けた患者では、治療後、放射線の当たった範囲に「いつの間にか骨折」が見られることがある。この研究はその危険性を正確に予測するための研究である。既に放射線治療あるいは重粒子線治療を受けた患者さんのデータを元に、「どのくらいの量の放射線があたると骨折する危険性が高まるか」「放射線の種類によって骨折のリスクに違いはあるのか」を確認する。次に、骨を構成する細胞を用いて、シャーレの上で、放射線の量や種類が骨の細胞にどのように影響するかを確認する。それらのデータを組み合わせることで、「放射線治療を受ける人のための、いつの間にか骨折予防予測」が高い精度で出来る様になる。
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研究成果の概要 |
放射線治療後の骨障害リスク予測として、これまでに明らかになっていなかった重粒子線治療後の骨盤骨の骨障害のリスクを評価した。Grade1以上の晩期骨障害(画像検査で判明する骨障害)は22.3%、Grade2以上の晩期骨障害(症状のある骨障害)は8.3%で見られることが分かった。これは、標準的な放射線治療と比較すると同等あるいはやや少ない頻度であった。 さらに、重粒子線治療の線質が、骨障害に影響しているかを解析したところ、線質そのものは影響していない可能性が示唆された。一方、50歳以上の患者、あるいは喫煙中の患者においては、骨折のリスクが高まることが示唆された。研究成果の証明のため基礎研究を継続中。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
重粒子線治療後の骨盤骨の骨障害のリスク評価は、世界で初めての報告となった。研究結果について、放射線治療分野における一流誌に投稿し、受理・掲載された(Radiother Oncol. 2021;156:56-61. doi:10.1016/j.radonc.2020.11.030.)。2022年度から進行子宮頸部腺癌に対する重粒子線治療が公的医療保険の適用となった。重粒子線治療後の骨障害の低減に繋がる研究成果であり、患者の治療後の生活の質の向上に資する可能性がある。
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