研究課題/領域番号 |
20K16410
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
大橋 彩香 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (60844371)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 慢性活動性Epstein-Barrウイルス病 / CAEBV / 血管病変 / IL-1β / 血管内皮細胞 / 凝固 / 慢性活動性EBウイルス病 / 慢性活動性EBウイルス感染症 / 血管障害 / 血液凝固 / サイトカイン / 液性因子 / RNA / RNase |
研究開始時の研究の概要 |
慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)は治療抵抗性EBウイルス陽性T, NK細胞腫瘍であり、患者の約40%と高率に血管障害を合併する。CAEBV患者由来のEBウイルス陽性TもしくはNK細胞の培養上清との共培養が、血管内皮細胞の細胞死を誘導し凝固障害の原因となり得る組織因子(TF)の発現を亢進させるというデータを得た。そこで本研究ではEBウイルス陽性T, NK細胞が液性因子等を介して血管内皮細胞に作用し、血管障害の発症に関与すると考え検証する。CAEBVのみならずEBウイルス陽性T, NK細胞腫瘍に併発する血管障害の発症機構解明、治療法の開発に寄与し得る。
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研究成果の概要 |
慢性活動性Epstein-Barrウイルス病(CAEBV)の細胞株の培養上清は血管内皮細胞株の凝固関連因子の発現に影響を与え、凝固活性を促進した。原因となる液性因子を同定するため、CAEBV患者血漿を用いてサイトカインアレイを実施した。IL-1βは、血管病変を合併した患者の血漿中で高発現しており、血管病変を発症していない患者では発現していなかった。IL-1βは血管内皮細胞の細胞増殖を抑制し、凝固活性を亢進した。IL-1βはCAEBVに併発する血管病変発症に寄与することを明らかにした。さらに、IFN-γと血球貪食症候群など、他の液性因子とCAEBV病態の相関に関しても明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
CAEBV患者の25%が発症する血管病変は、臓器傷害やTMA発症などに関与し、唯一の根治療法である造血幹細胞移植の移植成績を低下させ、予後を悪化させる極めて重篤な病態である。IL-1βが血管病変を合併したCAEBV患者の血漿中でのみ認められたことは、IL-1βがCAEBVで高率に合併する血管病変の発症に関与し、治療標的となることを示唆した。IFN-γなど他の液性因子とCAEBV病態との関連も見出している。本研究成果は、CAEBVに併発する血管病変だけではなく、HLH等の病変の発症や病態解明に寄与すると共に、IL-1β等液性因子を標的とした治療法やバイオマーカーの開発に貢献し得る。
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