研究課題/領域番号 |
20K16419
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 玲 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (80590546)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 膵癌 / 補体 / C3a受容体 / がん微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫チェックポイント阻害薬などの抗体医薬の発展は目覚ましく, 各種がんの標準治療と して使用されている. 一方, 膵癌は抗体医薬に耐性があり, その原因の一つとして膵癌の免疫原生低下が挙げられる. 免疫原生低下を示唆する所見として, 腫瘍内への細胞障害性T細胞の遊走障害, 骨髄由来抑制細胞の浸潤増加が確認されているが, TCGAデータベースで膵癌組織中の補体制御たんぱく質や補体受容体は上記の免疫細胞の浸潤と関連が示唆されている. 本研究で補体系を介した免疫調整機序を解明し, 治療への応用を期待する。
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研究成果の概要 |
本研究助成により次の研究成果を得た。まず、膵癌細胞にC3ARが発現しリガンドであるC3a添加により細胞の増殖能や浸潤遊走能が亢進する事を明らかにした。次に膵癌細胞質C3が発現し上皮間葉転換に関与している事を報告した。また、膵癌微小環境におけるC3AR発現が膵癌に与える影響についても併せて検討し、C3ARが膵癌組織内に発現するC3ARが各種免疫細胞、特にM2マクロファージや制御性T細胞の腫瘍内浸潤を促進している事が分かった。C3ARは新規免疫チェックポイント分子である可能性があり、治療標的となり得るか検討する余地がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵癌細胞に発現する補体C3や受容体C3ARとEMTに関する報告はなく新規性高い報告となった。新規の抗がん薬開発が進まない膵癌治療において、C3ARは新たな治療標的となる可能性がある。また、抗腫瘍免疫応答において免疫抑制的に作用するM2マクロファージの発生においてもC3ARが関連している可能性がある事は大変興味深い。C3ARを標的とする治療が膵癌細胞のEMTを抑制できるだけではなく、同時に免疫抑制細胞の作用を減弱させる抗腫瘍免疫応答増強にも寄与できる可能性があると考えた。
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