研究課題/領域番号 |
20K16433
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
渡邊 俊之 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (10843435)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | MHC class I / NLRC5 / promoter / DNA methylation / 癌免疫療法 / 免疫チェックポイント阻害療法 / エピゲノム編集 |
研究開始時の研究の概要 |
非小細胞肺癌に対する免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の有効性は十分ではない。我々はMHC class I遺伝子群のマスター転写因子としてNLRC5を同定した。癌細胞は主にNLRC5プロモーターのメチル化により、NLRC5およびMHC class I関連遺伝子の発現を低下させ、CD8+T細胞への癌抗原の提示を阻害し、免疫応答から逃れている。本研究では、エピゲノム編集を用いた特異的NLRC5脱メチル化技術を開発し、脱メチル化による癌免疫応答の賦活化およびICIの治療効果向上について解析する。本研究により、肺癌におけるNLRC5脱メチル化を介した効果的なICI治療法が開発されることが期待される。
|
研究成果の概要 |
多くの癌はNLRC5プロモーターのメチル化により、NLRC5およびMHC class I 遺伝子の発現を低下させ、免疫応答から逃れている。我々は酵素活性能を欠損させたCas9(dCas9)と脱メチル化酵素TET1にNLRC5プロモーター特異的なgRNAを組み合わせることにより、NLRC5遺伝子特異的に脱メチル化を誘導する事に成功した。さらに転写活性化因子をシステムに加えることにより、さらなる転写誘導効率の大きな上昇に成功した。これらの遺伝子特異的なエピゲノム編集による免疫癌療法は、肺癌のみならず、多くの癌腫、及び多くの標的遺伝子に応用可能であり、汎用性が高い技術と考えられる。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
癌におけるDNAメチル化は以前よりよく知られている。実際に脱メチル化を行う薬剤が癌治療に使われてきている。しかしながら従来の脱メチル化剤は、特異性が低く副作用が大きいため、臨床応用が難しく、ごく限られた癌腫にのみ適用がある。遺伝子特異的な脱メチル化技術は副作用が低いことが期待される上、数多くの標的遺伝子を選択することができることから、多くの癌腫に応用可能であり、これから多くの治療技術の基盤技術となる可能性が高い。
|