研究課題
若手研究
固形がんにおけるがん免疫において、体の局所に存在する腫瘍を特異的に傷害するためには、血液がんのそれとは異なり、免疫細胞が血管を通って遊走し、腫瘍組織への浸潤の後、標的を認識し、活性化と増殖を通して傷害するプロセスが必要である。従って、免疫T細胞の腫瘍への遊走能力や浸潤能力がいかにして制御されているか、そのメカニズムと細胞傷害性効果との関係を明らかにすることができれば、固形がんにおけるがん免疫療法の抗腫瘍効果を向上させることが可能と考えられる。本研究では独自に開発した3つの新規技術をツールとして用いることにより、固形がんにおけるT細胞の遊走能力や浸潤能力の制御メカニズムの解明に取り組む。
本研究では、固形がんを治療するための免疫細胞機能向上を目的に(1)標的のがん細胞に対して向かっていく能力[遊走性/浸潤性]、(2)がん細胞を攻撃する能力[傷害性]、(3)自分の分身を増やす能力ー[増殖性] の3つの能力を向上させる重要な遺伝子を探すために、これらの3つの能力に差のある細胞を選り分ける事のできるこれまでにないデバイスの開発を行った。また、その技術が本当に能力に差のある免疫細胞を選り分けることができるのかを、実際のがん細胞を使って確かめることに成功した。
本研究では独自に研究代表者らが開発した3つの新規技術「マイクロ流体デバイスを用いた運動機能による細胞選別方法」、T細胞と腫瘍組織との相互作用がin vitroでイメージング可能な「Tumor-on-a-chip」、「iPS細胞由来CAR-T細胞(CAR-iPS-T細胞)作製技術」をツールとして用いることにより、固形がんにおけるT細胞の遊走能力や浸潤能力の制御メカニズムの解明に取り組む。今回、免疫細胞を標的細胞への遊走性で選り分けることのできるこれまでにないデバイスの開発に成功した。これにより選別された免疫細胞を用いて、抗腫瘍効果に影響を及ぼす因子のスクリーニングができる可能性を拓いた。
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