研究課題/領域番号 |
20K16480
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51020:認知脳科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
新保 彰大 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (90868225)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | インターバル計時 / 海馬 / 眼窩前頭前野皮質 / 線条体 / 時間細胞 / 相対的時間情報表現 / 海馬時間細胞 / 大規模細胞外電気記録 |
研究開始時の研究の概要 |
時間情報を処理しているのかを理解することは,動物の認知能力を理解する上で欠かすことが出来ない問題であるが,数秒単位の計時に関する神経メカニズムは明らかになっていない。海馬において経過時間特異的に活動し,集団として経過時間を表現する時間細胞が発見された。本申請課題では,この海馬時間細胞に注目し計時における海馬の神経集団レベルでの役割の解明を目指す。 海馬の役割を解明するために,海馬時間細胞が表現している時間情報の解明(実験1)と海馬時間細胞の神経活動と経過時間判断の関連の検証(実験2)を行う。上記について検討するために,本申請課題では,計時課題遂行時に大規模細胞外記録と行動の操作を組み合わせる。
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研究実績の概要 |
昨年度の報告書に記載したように,海馬CA1だけでなく,眼窩前頭前野および背内側線条体の3点から,インターバル計時課題遂行時に同時に神経活動を記録した。課題はこれまでの5秒と10秒の刺激呈示時間の弁別に加え,15秒呈示する15秒条件を追加し,5秒条件と15秒条件の報酬位置を同じとした。この実験操作を加えることで,旧来の5秒と10秒の刺激呈示時間長の弁別より,神経活動への報酬呈示位置の影響を明確にできるようなになった。もし,報酬呈示位置が同じ5秒試行と15秒試行条件で同様の神経活動を示す場合,それらの神経細胞は経過時間ではなく,報酬呈示時間に応答していると考えられる。8月までに3個体のラットより3点同時の神経活動を記録することに成功した。 海馬CA1だけでなく,眼窩前頭前野皮質および線条体に経過時間特異的に応答する「時間細胞」を発見した。これらの時間細胞は,15秒試行と5秒試行では異なる神経活動を示していたことから,報酬呈示位置に対して応答するのではなく,経過時間に対して応答しているといえる。また,それぞれの脳部位の脳波がどの周波数帯域で強く同期しているのかを検討したところ,約8Hzの脳波であるシータ波において同期していた。つまりこの結果は,シータ波に合わせて,計時かかわりのある神経活動を同期させていることを示唆している。現在,3つの脳部位の神経活動と脳波の関係につい鋭意解析中である。 8月以降は,NIH傘下のNIDAのSchoenbaum博士の研究室に参加するため,課題の遂行を一時中断している。中断終了後は,8月までに取得したデータより得た知見をもとに研究を発展させていきたい。
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