研究課題/領域番号 |
20K16491
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
渡邊 直希 滋賀医科大学, 神経難病研究センター, 助教 (60769339)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / Amyloid-β / ILEI / 遺伝子発現制御 / 老年期認知症 |
研究開始時の研究の概要 |
Alzheimer病(AD)の基本病態はamyloid-β (Aβ)ペプチドの脳内蓄積であるが、この要因は未だ解明されておらず、発症前に開始すべき根本的治療の開発には至っていない。代表者らは、Aβ産生抑制タンパク質ILEIを見出し、ILEIの加齢等に伴う発現低下がAβ蓄積を誘発することが示唆された。本研究課題では、孤発性ADのリスク要因としてのILEI発現低下に焦点を当て、老化やADに伴う脳ILEI発現低下機構の解明と、誘導性コンディショナルノックアウトマウスを用いた検証により、Aβ蓄積の一次的要因の一端を解明し、Aβ蓄積に対するILEIを標的とした先制医療の実現に資する知見を得る。
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研究成果の概要 |
レポーターアッセイよりILEI転写活性領域は転写開始点近傍2か所で、データベース検索、ノックダウン、強制発現から転写因子SP1、EBF1を見出した。CRISPR/Cas9でのこの領域欠損で内在性ILEI低下、EMSA、ChIP-qPCRからこの領域とSP1、EBF1の結合を認めた。RNA-seqからAD脳でのILEI低下、AD脳でSP1、EBF1とこの領域の結合低下を認めた。 神経特異的欠損誘導できるILEI-cKOマウスを作製、App(NL-F)系統と交配、3、6か月齢で欠損誘導後、14か月齢での免疫組織染色、ELISAでAβ沈着の増加を認めた。Y字迷路より10か月齢以降で作業記憶が低下した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ILEIはγセクレターゼ活性を阻害せず、Aβの基質APP-C99の不安定化によりAβ産生を減少させる。このためγセクレターゼによる治療法開発で従来問題になったNotch阻害による副作用を回避した治療標的として有望であり、脳内Aβ蓄積のリスク評価を標的としたバイオマーカーとしても期待できる。ILEIの特異な活性や脳内発現について申請者らが初めて見出したもので、本研究は独自性が高く、今後さらに新たな研究領域を生む創造性も期待できる。将来、高齢者スクリーニングとしてILEIを含めたバイオマーカーを評価し、リスクを推定した上で、予防的治療を加えるという認知症の先制医療の実現を目指し、研究を進めている。
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