研究課題
若手研究
末梢神経系は軸索再生能を有しているが、末梢神経損傷後の軸索再生を効率よく誘導する治療法は未だ存在しない。申請者はこれまでに、末梢神経損傷時にT細胞が血管新生と軸索再生を促進する可能性を発見している。また最近、新生血管が末梢神経系における軸索再生を制御することが報告された。本研究では、これらの点を踏まえ、T細胞による血管新生促進が軸索再生作用を担うと考え、T細胞がどのように血管新生促進を制御するのか、またT細胞作用によって形成された新生血管が軸索再生の促進を担うのか解明する。さらに、得られた成果を活用し、軸索再生に対する新たな治療薬の開発へと発展させたい。
末梢神経切断後の神経再生におけるT細胞機能の解明を行った。その結果、末梢神経切断後の末梢神経組織にT細胞が集積すること、またT細胞が血管新生を促進することで末梢神経再生を亢進させることが明らかになった。さらに新生血管による末梢神経再生メカニズムを調べたところ、新生血管はIGF1、PDGFβ、NT3産生を介して、神経損傷遠位部からのシュワン細胞遊走を促進させ、末梢神経再生を促す可能性が明らかとなった。
末梢神経系は中枢神経系とは異なり、神経損傷後にも再生することが知られている。しかし、事故による末梢神経切断のような、大きな神経損傷が起きた際には神経再生が不十分となり、現在の治療法では神経機能を回復させることは困難である。本研究では、末梢神経切断後の神経再生にT細胞が誘導する血管新生が重要な役割を担うことやそのメカニズムを明らかとした。本研究成果の応用により、血管新生促進や、新生血管による神経再生促進をサポートする新たな薬剤や治療戦略が展開できると期待される。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 22 号: 20 ページ: 11169-11169
10.3390/ijms222011169
Cell Rep.
巻: 33 号: 2 ページ: 108265-108265
10.1016/j.celrep.2020.108265
Neuroscience Letters
巻: 739 ページ: 135406-135406
10.1016/j.neulet.2020.135406