研究課題/領域番号 |
20K16519
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 (2023) 京都大学 (2020) |
研究代表者 |
田宮 寛之 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 研修員 (70770519)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 視交叉上核 / 多能性幹細胞 / ES/iPS細胞 / 時差ぼけ / 昼夜逆転 / 脳オルガノイド |
研究開始時の研究の概要 |
私たちは朝自然に目がさめ, 夜自然に眠くなるように, いわゆる体内時計を持っています. 私たちの身体では, 脳の視床下部の視交叉上核 (SCN) という場所が時計中枢として機能しています. 私たちの体内時計は現代の眠らない社会に適応できなくなってきています. 私は最近, マウスES細胞から機能的な成熟三次元SCNを試験管内で誘導することに成功しました. この研究ではこの実験系をヒトiPS細胞に応用することで, ヒトSCNを試験管内で作製し, 薬を探索することで, 時差ぼけ治療薬の発見を目指します. この治療薬は交替勤務の方の睡眠障害や, 高齢者の昼夜逆転などにも応用可能と考えられます.
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研究成果の概要 |
代表者は,多能性幹細胞細胞から機能的時計中枢 (視交叉上核SCN)を高効率で誘導し,成熟させることに成功した. 誘導されたSCN組織(SCNオルガノイド)はSCN特異的遺伝子を発現しており, 構造もある程度再現され, 成体視床下部のわずか0.7%に過ぎないSCNが20%以上誘導されていた.また,時計遺伝子の発光イメージングでは,SCNにしか存在しない細胞時計の同期機構が証明された.さらにSCN破壊マウスへの移植では,SCN破壊で消失した行動リズムが回復した.SCNオルガノイド技術はヒトiPS細胞へも応用可能なことを確認でき,概日リズム障害治療薬のスクリーニングにも有望と考えられた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
体内時計は全身ほぼすべての細胞にあるが, 哺乳類においては視床下部の視交叉上核 (SCN) が時計中枢として機能し, 時刻情報を全身に伝えている. 現代の眠らない社会において, 体内時計は適応できなくなってきている. 近年, SCNの同期機構を弱めると, 時差ぼけになりにくいことが示されつつあり, 創薬ターゲットとして期待されている. 代表者が開発したSCNオルガノイド技術をヒトiPS細胞に応用することで, ヒトSCNを試験管内で作製すれば, 既存薬のスクリーニングすれば, 時差ぼけ治療薬の同定が可能となる. 本治療薬は交替勤務型睡眠障害や高齢者の昼夜逆転などにも応用可能と考えられる.
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