研究課題
若手研究
白質脳症は大脳白質を病変の主座とする疾患の総称である。原因疾患は多岐にわたり、遺伝性も含め全く病態の異なる疾患が混在する。申請者はこれまでに成人白質脳症の遺伝学的背景解析を行い、神経核内封入体病とcerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathyが成人白質脳症の2大疾患であることを明らかにしてきた。本研究では原因未同定の82例および新規に収集する50例の成人白質脳症の解析を通して、成人白質脳症の遺伝学的背景の包括的な解析、新規原因遺伝子の同定をめざす。
白質脳症の背景疾患は非常に多岐にわたり、疾患特異的な治療を考慮する上では正確な診断が必須となるが、臨床所見や画像所見のみでの診断は容易ではない。本研究では我々の先行研究で診断未確定であった81症例に対する再解析、および新規収集50症例の遺伝学的解析を通じて成人白質脳症の遺伝学的背景を明らかにすることを目標とした。診断未確定例の再解析では、コピー解析、ロングリードシーケンサー解析、RNAシーケンス解析で2例の原因が判明した。追加50症例の解析では神経核内封入体病5例、CADASIL6例を含む14例で遺伝学的原因が判明した。
我々の先行研究、本研究を通じて、成人白質脳症患者160症例の遺伝学的解析を行い、17例がNIID、17例がCADASILであった。その他は稀少疾患でありCSF1R、EIF2B2、POLR3A、L2HGDH、TUBB4A、YWHAE、DARS2、HTRA1、RRM2B、COL4A1解析のバリアントが原因である症例が1例ずつで、原因が判明したのは44例/160例(27.5%)であった。本研究により成人白質脳症の遺伝学的背景の一端が明らかとなり、成人白質脳症の診断、治療に有益なデータを提供できたと考えられる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件)
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